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October 2, 2025 Vol. 393 No. 13

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中等症高トリグリセリド血症の治療におけるオレザルセンによる APOC3 の標的化
Targeting APOC3 with Olezarsen in Moderate Hypertriglyceridemia

B.A. Bergmark and Others

背景

トリグリセリドを低下させる有効性の高い治療法はない.オレザルセン(olezarsen)は,トリグリセリドのクリアランスを阻害するアポリポ蛋白 C-III 遺伝子(APOC3)のメッセンジャー RNA を標的とする,N-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンスオリゴヌクレオチドである.

方 法

第 3 相国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,中等症高トリグリセリド血症(トリグリセリド値 150~499 mg/dL)を有する心血管リスクの高い患者,または重症高トリグリセリド血症(トリグリセリド値 500 mg/dL 以上)を有する患者を登録し,オレザルセン 50 mg コホートと 80 mg コホートに,1:3 の割合で無作為に割り付けた.次に各コホート内で,患者を,オレザルセンを月 1 回皮下投与する群とマッチさせたプラセボを投与する群に,3:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,中等症高トリグリセリド血症患者におけるトリグリセリド値のベースラインから 6 ヵ月までの変化率の最小二乗平均とし,オレザルセンの各用量群とプラセボ群との差(プラセボで補正した変化量)として報告する.

結 果

主要有効性解析の対象は 1,349 例(オレザルセン 50 mg 群 254 例,オレザルセン 80 mg 群 766 例,プラセボ群 329 例)であった.年齢中央値は 64 歳で,40%が女性であり,ベースライン時のトリグリセリド値の中央値は 238.5 mg/dL(四分位範囲 190.5~307.5)であった.6 ヵ月の時点で,プラセボで補正したトリグリセリド値の変化量の最小二乗平均は,オレザルセン 50 mg 群では -58.4 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -65.1~-51.7,P<0.001),オレザルセン 80 mg 群では -60.6 パーセントポイント(95% CI -67.1~-54.0,P<0.001)であった.重篤な有害事象の発現率は,群間で同程度と思われた.

結 論

心血管リスクの高い中等症高トリグリセリド血症患者に対して,オレザルセンを投与した場合,プラセボを投与した場合よりも,6 ヵ月の時点でのトリグリセリドの低下が有意に大きかった.(アイオニス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ESSENCE–TIMI 73b 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05610280)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1279 - 91. )