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October 16, 2025 Vol. 393 No. 15

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死亡率の低下を目的としたマリの乳児集団に対するアジスロマイシン投与
Mass Administration of Azithromycin to Infants in Mali to Reduce Mortality

F.C. Haidara and Others

背景

サハラ以南のアフリカの一部の地域で,生後 1~59 ヵ月の小児集団に対するアジスロマイシン投与により,この年齢層の乳幼児の死亡率が低下することが示されている.最大の効果は,生後 12 ヵ月未満の乳児に投与後 3 ヵ月間認められたようであり,この観察結果からこの試験は計画された.

方 法

西アフリカのマリの村落を,プラセボの配布を受ける群,アジスロマイシンの配布を年 2 回受ける群,アジスロマイシンの配布を年 4 回受ける群に,3:4:2 の割合で無作為に割り付けた.生後 1~11 ヵ月の乳児に,20 mg/kg 体重の用量で,3 ヵ月ごとにプラセボを投与するか(対照群),1 月~6 月の 3 ヵ月ごとの 2 回の来院時にアジスロマイシンを投与し,7 月~12 月の 3 ヵ月ごとの 2 回の来院時にプラセボを投与するか(アジスロマイシン年 2 回群),3 ヵ月ごとにアジスロマイシンを投与した(アジスロマイシン年 4 回群).主要転帰は適格性を確認後 3 ヵ月以内の死亡とし,intention-to-treat 集団で解析した.

結 果

2020 年 12 月~2022 年 12 月に,1,151 の村落が試験に登録され,386 の村落が対照群,511 の村落がアジスロマイシン年 2 回群,254 の村落がアジスロマイシン年 4 回群に無作為に割り付けられた.すべての村落で,149,090 人の乳児がプラセボまたはアジスロマイシンの投与を 1 回以上受け,82,600 人年追跡された.968 例の死亡が記録された.死亡率は,対照群では,リスクのあった 1,000 人年あたり 11.9 例であり,アジスロマイシン年 2 回群では 1,000 人年あたり 11.8 例(発生率比 1.00,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.19)であり,アジスロマイシン年 4 回群では 1,000 人年あたり 11.3 例(発生率比 0.93,95% CI 0.75~1.15)であった.有害事象の頻度は低く,発現割合は 3 群で同程度であった.投与を受けなかった生後 12~59 ヵ月の小児における死亡率は全群で同程度であった.

結 論

マリにおいて,生後 1~11 ヵ月に限定した乳児集団にアジスロマイシン投与を行っても,それが年 2 回か 4 回かにかかわらず,乳幼児の死亡率はプラセボよりも低くならなかった.(ゲイツ財団から研究助成を受けた.LAKANA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04424511)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1498 - 508. )