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October 23, 2025 Vol. 393 No. 16

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気管支拡張症に対する高張食塩水とカルボシステインとの比較
Hypertonic Saline or Carbocisteine in Bronchiectasis

J.M. Bradley and Others

背景

気管支拡張症に対する粘液活性薬は,ガイドラインでは有効性に一貫性がなく,使用状況は地域によって異なっている.安全性と有効性を評価するための大規模試験が必要である.

方 法

英国の 20 施設で非盲検無作為化 2×2 要因試験を行い,非囊胞性線維症気管支拡張症を有し,増悪(pulmonary exacerbation)の頻度が高く,痰が毎日出る患者を登録した.現在喫煙者と,粘液活性薬による治療を最近受けていた者は除外した.全例を,標準治療に加えて粘液活性薬を投与する 3 群(高張食塩水 [高張食塩水群],高張食塩水+カルボシステイン [併用群],カルボシステイン [カルボシステイン群])のいずれか,または標準治療のみを行う群に割り付けた.比較は,「高張食塩水投与」と「高張食塩水非投与」,および「カルボシステイン投与」と「カルボシステイン非投与」とのあいだで行った(各カテゴリは 2 群から成る).主要転帰は 52 週間における増悪の件数とした.重要な副次的転帰は,疾患特異的健康関連 QOL 評価スコア,次の増悪までの期間,安全性とした.

結 果

288 例が無作為化された.治療の相互作用は認められなかった.52 週間における,基準をすべて満たすと判定された増悪の件数の平均は,高張食塩水投与では 0.76(95%信頼区間 [CI] 0.58~0.95)であったのに対し,高張食塩水非投与では 0.98(95% CI 0.78~1.19)であり(補正後の平均の群間差 -0.25 [95% CI -0.57~0.07,P=0.12]),カルボシステイン投与では 0.86(95% CI 0.66~1.06)であったのに対し,カルボシステイン非投与では 0.90(95% CI 0.70~1.09)であった(補正後の平均の群間差 -0.04 [95% CI -0.36~0.28,P=0.81]).副次的転帰についても同様の結果が得られ,重篤な有害事象を含む有害事象の発現率も全群で同程度であった.

結 論

気管支拡張症患者に対し,高張食塩水を投与した場合もカルボシステインを投与した場合も,52 週間における増悪の平均発生率は有意に低下しなかった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムほかから研究助成を受けた.ISRCTN 登録番号 ISRCTN89040295)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1565 - 77. )