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October 23, 2025 Vol. 393 No. 16

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経口抗凝固療法を受けている慢性冠症候群患者に対するアスピリン
Aspirin in Patients with Chronic Coronary Syndrome Receiving Oral Anticoagulation

G. Lemesle and Others

背景

慢性冠症候群を有し,アテローム血栓症のリスクが高く,長期経口抗凝固療法を受けている患者に対する適切な抗血栓レジメンは明らかにされていない.

方 法

フランスで,(登録の 6 ヵ月以上前の)ステント留置歴があり,アテローム血栓症のリスクが高く,長期経口抗凝固療法を受けている慢性冠症候群患者を対象として,多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,アスピリン(100 mg を 1 日 1 回)を投与する群とプラセボを投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.全例が服用中の抗凝固薬を継続した.主要有効性転帰は,心血管死,心筋梗塞,脳卒中,全身性塞栓症,冠血行再建,急性下肢虚血の複合とした.重要な安全性転帰は大出血とした.

結 果

872 例が無作為化され,433 例がアスピリン群,439 例がプラセボ群に割り付けられた.アスピリン群で全死因死亡の超過が認められたため,追跡期間中央値 2.2 年の時点で,独立データ安全性モニタリング委員会の勧告に基づき試験は早期に中止された.主要有効性転帰イベントは,アスピリン群では 73 例(16.9%),プラセボ群では 53 例(12.1%)に発生した(補正ハザード比 1.53,95%信頼区間 [CI] 1.07~2.18,P=0.02).全死因死亡は,アスピリン群では 58 例(13.4%),プラセボ群では 37 例(8.4%)に発生した(補正ハザード比 1.72,95% CI 1.14~2.58,P=0.01).大出血は,アスピリン群では 44 例(10.2%),プラセボ群では 15 例(3.4%)に発生した(補正ハザード比 3.35,95% CI 1.87~6.00,P<0.001).重篤な有害事象は,アスピリン群では 467 件,プラセボ群では 395 件報告された.

結 論

アテローム血栓症のリスクが高く,経口抗凝固薬の投与を受けている慢性冠症候群患者のうち,アスピリンを追加した患者では,プラセボを追加した患者と比較して,心血管死,心筋梗塞,脳卒中,全身性塞栓症,冠血行再建,急性下肢虚血のリスクが高くなり,全死因死亡と大出血のリスクも高くなった.(フランス保健省,バイエルヘルスケア社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04217447)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1578 - 88. )