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October 30, 2025 Vol. 393 No. 17

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パラチフス A 菌ワクチンの安全性,有効性,免疫原性
Safety, Efficacy, and Immunogenicity of a Salmonella Paratyphi A Vaccine

N. McCann and Others

背景

サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型 Paratyphi A(パラチフス A 菌 [S. Paratyphi A] としても知られる)は,年間 200 万例を超える発熱性胃腸炎の原因である.パラチフス A 菌に対して認可されたワクチンはない.

方 法

二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,コントロール下ヒト感染モデルを用いて,経口投与型の弱毒生パラチフス A 菌ワクチン(CVD 1902)を評価した.健康な英国の成人を,CVD 1902 の接種を 14 日間隔で 2 回行う群と,プラセボの接種を行う群に 1:1 の割合で割り付けた.2 回目の接種後 28 日に,参加者に,パラチフス A 菌による経口チャレンジを行った.主要評価項目は,チャレンジ後 14 日以内のパラチフス A 菌感染の診断とした.副次的評価項目は,安全性,免疫原性などとした.

結 果

72 人が無作為化され,CVD 1902 群の 34 人とプラセボ群の 36 人がパラチフス A 菌によるチャレンジを受けた.参加者の年齢中央値は 32 歳(範囲 20~54)で,46%が女性であった.有害事象の件数は 2 群でおおむね同程度であり,ワクチンに関連した重篤な有害事象は認められなかった.CVD 1902 は,パラチフス A 菌の O 抗原に対する血清 IgG 反応,血清 IgA 反応を誘導した.プラセボ群では,血清 IgG,血清 IgA の抗体価の上昇はみられなかった.intention-to-treat 集団において,チャレンジ後 14 日以内にパラチフス A 菌感染が診断された参加者の割合は,CVD 1902 群では 21%,プラセボ群では 75%であり(P<0.001),ワクチン有効率は 73%(95%信頼区間 [CI] 46~86)となった.per-protocol 解析では,ワクチン有効率は 69%(95% CI 42~84)であった.

結 論

コントロール下ヒト感染モデルとして,パラチフス A 菌によるチャレンジを受けた健康な英国の成人において,CVD 1902 の 2 回の接種は,安全性の懸念なしに,パラチフス A 菌感染に対する防御能を付与した.(医療研究評議会から研究助成を受けた.VASP 試験:ISRCTN 登録番号 15485902,EudraCT 登録番号 2021-003259-41)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1704 - 14. )