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October 30, 2025 Vol. 393 No. 17

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半月板断裂と膝痛に対する理学療法の無作為化試験
A Randomized Trial of Physical Therapy for Meniscal Tear and Knee Pain

J.N. Katz and Others

背景

半月板変性断裂が原因の膝痛には,理学療法がルーチンで推奨されている.しかし,その有効性は確立されていない.

方 法

膝痛,変形性関節症,半月板断裂を有する 45~85 歳の参加者を,次の 4 群のいずれかに無作為に割り付けた:在宅運動(3 ヵ月間のプログラム)を行う群,在宅運動を行い,運動の実施を促すテキストメッセージを受信する群,在宅運動を行い,テキストメッセージを受信し,偽理学療法(診療所内での偽徒手療法と偽超音波療法)を受ける群,在宅運動を行い,テキストメッセージを受信し,標準的な理学療法(監督下での筋力増強運動,ファンクショナルエクササイズ,ストレッチ運動,徒手療法)を受ける群.主要転帰は,膝関節損傷と変形性関節症転帰スコア(KOOS)の疼痛サブスコア(0~100 で,値が高いほど痛みが強いことを示す)の,ベースラインから 3 ヵ月後までの変化とし,試験実施施設,ベースラインの KOOS 疼痛サブスコア,X 線グレードで補正した.

結 果

879 例が無作為化された(平均 [±SD] 年齢 59.2±7.8 歳).KOOS 疼痛サブスコアの 3 ヵ月間の変化の差は,在宅運動群と在宅運動+テキストメッセージ群とのあいだで -0.1 ポイント(98.3%信頼区間 [CI] -3.8~3.7),在宅運動群と在宅運動+テキストメッセージ+標準的理学療法群とのあいだで 2.5 ポイント(98.3% CI -1.3~6.2)であった.在宅運動+テキストメッセージ群と,在宅運動+テキストメッセージ+標準的理学療法群とのあいだの差は 2.5 ポイント(98.3% CI -1.4~6.5)であった.有害事象は,発現頻度が低く,大部分が非重篤であり,4 群全体に均一に分布していた.

結 論

半月板変性断裂と膝痛を有する患者において,在宅運動に理学療法を追加したり,在宅運動の実施を促すテキストメッセージを追加したりしても,疼痛の軽減に関して,在宅運動プログラムのみよりも優れていることはなかった.(米国国立関節炎・骨軟部疾患・皮膚疾患研究所ほかから研究助成を受けた.TeMPO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03059004)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1694 - 703. )