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November 6, 2025 Vol. 393 No. 18
乳癌に対する乳房切除後の胸壁照射による 10 年生存率
Ten-Year Survival after Postmastectomy Chest-Wall Irradiation in Breast Cancer
I.H. Kunkler and Others
pN1(腋窩リンパ節転移 1~3 個)または pN0(病理学的リンパ節転移陰性)の乳癌で,その他の危険因子を有する患者に対する,乳房切除後の胸壁照射の役割は明らかにされていない.
国際共同第 3 相無作為化試験で,「中間リスク」の乳癌に対し,乳房切除,腋窩手術,全身療法による治療を受けた女性における胸壁照射の省略を評価した.中間リスクの乳癌は,病期が pT1N1,pT2N1,pT3N0 のいずれかの癌,または病期が pT2N0 で,組織学的グレード 3 もしくはリンパ管侵襲陽性,あるいはその両方に該当する癌と定義した(腫瘍径は T1:2 cm 以下,T2:2 cm 超~5 cm,T3:5 cm 超).患者を,胸壁照射(40~50 Gy)を行う群(照射群)と行わない群(非照射群)に割り付けた.主要評価項目は全生存とし,10 年間追跡した.胸壁再発,領域再発,無病生存,無遠隔転移生存,死因,放射線関連有害事象も評価した.
intention-to-treat 集団は照射群 808 例,非照射群 799 例であった.追跡期間中央値は 9.6 年であった.Kaplan–Meier 推定値に基づく 10 年全生存率は,照射群 81.4%,非照射群 81.9%であった(死亡のハザード比 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.82~1.30,P=0.80).胸壁再発は全体で 29 例に生じ,内訳は照射群 9 例(1.1%),非照射群 20 例(2.5%)であった(群間差 2 パーセントポイント未満,ハザード比 0.45,95% CI 0.20~0.99).無病生存率は,照射群 76.2%,非照射群 75.5%であり(再発または死亡のハザード比 0.97,95% CI 0.79~1.18),無遠隔転移生存率は,それぞれ 78.2%と 79.2%であった(遠隔転移または死亡のハザード比 1.06,95% CI 0.86~1.31).
この試験では,乳房切除と最新の術後補助全身療法による治療を受けた中間リスクの早期乳癌患者に対して,胸壁照射を行った場合の全生存率は,胸壁照射を行わなかった場合と比較して高くなかった.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.SUPREMO 試験:ISRCTN 臨床試験登録番号 61145589)







