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November 6, 2025 Vol. 393 No. 18

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進行 HER2 変異陽性非小細胞肺癌に対するセバベルチニブ
Sevabertinib in Advanced HER2-Mutant Non–Small-Cell Lung Cancer

X. Le and Others

背景

非小細胞肺癌(NSCLC)患者の 2~4%に HER2 遺伝子変異が起こる.経口可逆的チロシンキナーゼ阻害薬であるセバベルチニブ(sevabertinib)は,前臨床モデルで抗 HER2 活性を示している.

方 法

非盲検多施設共同複数コホート第 1・2 相試験を行い,局所進行または転移性 HER2 変異陽性 NSCLC 患者に対するセバベルチニブ 20 mg の 1 日 2 回投与を評価した.治療歴に基づき,次の 3 つのコホートを定義した:コホート D は治療歴はあるが,HER2 標的療法を受けたことはない患者,コホート E は HER2 を標的とする抗体薬物複合体による治療歴のある患者,コホート F は治療歴のない患者.主要評価項目は客観的奏効とし,盲検下独立中央判定により評価した.副次的評価項目は奏効期間と無増悪生存とした.

結 果

209 例がセバベルチニブの投与を受けた(データカットオフ日である 2025 年 6 月 27 日時点).追跡期間中央値は,コホート D では 13.8 ヵ月,コホート E では 11.7 ヵ月,コホート F では 9.9 ヵ月であった.コホート D の 81 例では,客観的奏効割合は 64%(95%信頼区間 [CI] 53~75),奏効期間の中央値は 9.2 ヵ月(95% CI 6.3~13.5),無増悪生存期間の中央値は 8.3 ヵ月(95% CI 6.9~12.3)であった.コホート E の 55 例では,客観的奏効割合は 38%(95% CI 25~52),奏効期間の中央値は 8.5 ヵ月,無増悪生存期間の中央値は 5.5 ヵ月であった.コホート F の 73 例では,客観的奏効割合は 71%(95% CI 59~81),奏効期間の中央値は 11.0 ヵ月で,無増悪生存のデータは揃っていなかった.グレード 3 以上の薬剤関連有害事象が患者全体の 31%に発現した.もっとも頻度の高かった有害事象は下痢(84~91%)であり,グレード 3 以上の発現率は 5~23%であった.患者の 3%が薬剤関連有害事象により投与を中止した.

結 論

局所進行または転移性 HER2 変異陽性 NSCLC 患者において,セバベルチニブは抗腫瘍活性を示した.もっとも頻度の高かった有害事象は下痢であった.(バイエル社から研究助成を受けた.SOHO-01 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05099172)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1819 - 32. )