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November 6, 2025 Vol. 393 No. 18

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rVSV ラッサ熱ワクチン候補の安全性と免疫原性
Safety and Immunogenicity of an rVSV Lassa Fever Vaccine Candidate

E. Malkin and Others

背景

ラッサ熱は,西アフリカで毎年数千人の死亡を引き起こしていると推定されるウイルス性出血性疾患である.この疾患に対して,現在利用可能なワクチンはない.複製能を有する組換え水疱性口内炎ウイルスベクターワクチンであり,ラッサウイルス(LASV)糖蛋白複合体をコードする rVSVΔG-LASV-GPC が開発されたものの,安全性と免疫原性のデータは限られている.

方 法

米国とリベリアで第 1 相二重盲検試験を行い,健康な成人(18~50 歳)を,rVSVΔG-LASV-GPC を筋肉内接種する群とプラセボを接種する群に無作為に割り付けた.接種レジメンは,2×104 プラーク形成単位(PFU),2×105 PFU,2×106 PFU,2×107 PFU のワクチンもしくはプラセボの単回接種,または 2×107 PFU のワクチンもしくはプラセボの,6~20 週の期間内での 2 回接種とした.副作用プロファイルは,安全性データとして収集した有害事象,および自発的に報告された有害事象の発現率をもとに評価した(主要評価項目).ラッサ熱は感音性難聴を引き起こす可能性があるため,接種前後に聴力を測定した.副次的評価項目は,LASV 糖蛋白に対する結合抗体価,中和抗体価,血漿,尿,唾液中のワクチンベクター由来ウイルス RNA 量,PFU 量とした.

結 果

成人 114 人を登録した.ワクチンに関連した重篤な有害事象は報告されなかった.ワクチンによる局所反応は軽度であり,接種後早期に,用量依存的に軽度~重度の全身性の副反応が一過性に生じた.難聴は検出されなかった.すべての用量で,頻度の高い LASV の系統に交差反応する,強固かつ持続的な細胞性・液性(結合および中和)応答が誘導された.血漿,尿,唾液中に,ワクチンの感染性ウイルス粒子は認められなかった.

結 論

rVSVΔG-LASV-GPC ワクチンにより,一過性の局所および全身性の副反応が発現したが,難聴や重篤な有害事象は発現しなかった.このワクチンは,米国とリベリアの健康な成人において,広い範囲の用量で免疫原性を示した.(感染症流行対策イノベーション連合,米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04794218,Pan African Clinical Trials Registry 番号 PACTR2021106625781067)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1807 - 18. )