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November 20, 2025 Vol. 393 No. 20
心室性不整脈のリスクが高い患者のカリウム濃度を上昇させる
Increasing the Potassium Level in Patients at High Risk for Ventricular Arrhythmias
C. Jøns and Others
心血管疾患患者では,低カリウム血症を伴う場合心室性不整脈のリスクが高くなるが,血漿中カリウム濃度が正常低値であってもリスクは高くなる.血漿中カリウム濃度を,正常高値の範囲まで積極的に上昇させる戦略の評価が必要である.
デンマークで行った多施設共同非盲検イベント主導型無作為化優越性試験で,心室性不整脈のリスクが高く(植込み型除細動器 [ICD] 植込み患者と定義),ベースライン時の血漿中カリウム濃度が 4.3 mmol/L 以下の患者を組み入れた.参加者を,標準治療に加えて,血漿中カリウム濃度を正常高値(4.5~5.0 mmol/L)に上昇させるための治療レジメンとして,カリウム補給剤またはミネラルコルチコイド受容体拮抗薬,あるいはその両方の投与と,食事指導を行う群(カリウム正常高値群)と,標準治療のみを行う群(標準治療群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,持続性心室頻拍または適切な ICD 作動の記録,不整脈または心不全による予定外の入院(24 時間超),全死因死亡の複合とし,生存時間(time-to-first-event)解析で評価した.
1,200 例(各群 600 例)が無作為化され,追跡期間中央値は 39.6 ヵ月(四分位範囲 26.4~49.3)であった.主要評価項目イベントは,カリウム正常高値群では 136 例(22.7%,7.3 件/100 人年)に発生したのに対し,標準治療群では 175 例(29.2%,9.6 件/100 人年)に発生した(ハザード比 0.76,95%信頼区間 0.61~0.95,P=0.01).高カリウム血症,低カリウム血症による入院の発生率は 2 群で同程度であった.
心血管疾患を有し,ICD が植え込まれている心室性不整脈のリスクが高い参加者のうち,治療により血漿中カリウム濃度を上昇させた参加者では,標準治療のみを行った参加者と比較して,適切な ICD 作動,不整脈または心不全による予定外の入院,全死因死亡のリスクが有意に低かった.(デンマーク独立研究基金ほかから研究助成を受けた.POTCAST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03833089)







