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November 20, 2025 Vol. 393 No. 20

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介護施設入居者における降圧治療の削減
Reduction of Antihypertensive Treatment in Nursing Home Residents

A. Benetos and Others

背景

フレイル高齢者において,降圧薬を中止することの利益とリスクに関するエビデンスは限られている.

方 法

フランスで行った多施設共同無作為化比較試験で,年齢が 80 歳以上で,介護施設に入居し,高血圧に対し 2 種類以上の降圧薬投与を受けており,収縮期血圧が 130 mmHg 未満である患者を,プロトコルに基づいて降圧治療を段階的に減らす戦略を用いる群(漸減群)と,通常治療を行う群(通常治療群)に 1:1 の割合で割り付けた.追跡期間は最長で 4 年間とした.主要評価項目は全死因死亡とした.副次的評価項目は,使用している降圧薬数のベースラインから最終試験受診までの変化量,追跡期間中の収縮期血圧の変化量などとした.

結 果

1,048 例が無作為化され,528 例が漸減群,520 例が通常治療群に割り付けられた.可能性のある追跡期間の中央値は 38.4 ヵ月と推定された.使用している降圧薬数の平均(±SD)は,ベースラインから最終試験受診までに,漸減群では 2.6±0.7 から 1.5±1.1 に減少し,通常治療群では 2.5±0.7 から 2.0±1.1 に減少した.追跡期間中の収縮期血圧の変化量の補正平均値の群間差(漸減群-通常治療群)は,4.1 mmHg(95%信頼区間 [CI] 1.9~5.7)であった.全死因死亡は,漸減群では 326 例(61.7%),通常治療群では 313 例(60.2%)に発生した(補正ハザード比 1.02,95% CI 0.86~1.21,P=0.78).有害事象に 2 群間で明らかな差はなかった.

結 論

介護施設に入居し,複数の降圧薬による治療を受けており,収縮期血圧が 130 mmHg 未満であるフレイル高齢者のうち,降圧治療の漸減戦略を用いた患者の全死因死亡率は,通常治療を行った患者よりも低くなかった.(フランス保健省ほかから研究助成を受けた.RETREAT-FRAIL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03453268)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1990 - 2000. )