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November 20, 2025 Vol. 393 No. 20
進行褐色細胞腫・パラガングリオーマに対するベルズチファン
Belzutifan for Advanced Pheochromocytoma or Paraganglioma
C. Jimenez and Others
褐色細胞腫とパラガングリオーマは,それぞれ副腎髄質と副腎外傍神経節から発生する腫瘍である.転移性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症例の大部分は,低酸素誘導因子 2α(HIF-2α)経路の調節異常が原因である.ベルズチファンは,進行褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者において抗腫瘍活性を示す可能性のある HIF-2α阻害薬である.
局所進行または転移性の褐色細胞腫またはパラガングリオーマを有し,手術および根治目的の治療のいずれにも適格でない 72 例を対象に,第 2 相国際共同単群試験を行った.参加者にベルズチファン 120 mg を 1 日 1 回投与し,進行,忍容できない毒性,試験からの脱落のいずれかが発生するまで継続した.主要評価項目は,確定された客観的奏効(完全奏効または部分奏効)とし,盲検下独立中央判定により評価した.副次的評価項目は,奏効期間,疾患コントロール,盲検下独立中央判定で評価した無増悪生存,全生存,安全性とし,降圧薬の 1 日総投与量のベースラインからの減少などを重要な探索的評価項目とした.
追跡期間中央値 30.2 ヵ月(範囲 23.3~37.6)の時点で,確定された客観的奏効が得られた参加者の割合は 26%(95%信頼区間 [CI] 17~38)であり,疾患コントロールが得られた参加者の割合は 85%(95% CI 74~92)であった.奏効期間の中央値は 20.4 ヵ月(95% CI 8.3~未到達)であり,無増悪生存期間の中央値は 22.3 ヵ月(95% CI 13.8~未到達)であった.24 ヵ月全生存率は 76%であった.降圧薬を服用していた 60 例のうち,19 例(32%)では,ベルズチファン投与開始後の少なくとも 6 ヵ月間に,1 種類以上の降圧薬の 1 日総投与量が 50%以上減少した.治療関連有害事象は 71 例(99%)に発現し,グレード 3 の貧血は 22%に認められた.重篤な治療関連有害事象は 8 例(11%)に発現した.
進行褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者において,ベルズチファンは抗腫瘍活性を示し,持続的な奏効が得られた.(メルク シャープ アンド ドーム社 [メルク社の子会社,ニュージャージー州ローウェイ] から研究助成を受けた.LITESPARK-015 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04924075)







