The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 20, 2025 Vol. 393 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行褐色細胞腫・パラガングリオーマに対するベルズチファン
Belzutifan for Advanced Pheochromocytoma or Paraganglioma

C. Jimenez and Others

背景

褐色細胞腫とパラガングリオーマは,それぞれ副腎髄質と副腎外傍神経節から発生する腫瘍である.転移性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症例の大部分は,低酸素誘導因子 2α(HIF-2α)経路の調節異常が原因である.ベルズチファンは,進行褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者において抗腫瘍活性を示す可能性のある HIF-2α阻害薬である.

方 法

局所進行または転移性の褐色細胞腫またはパラガングリオーマを有し,手術および根治目的の治療のいずれにも適格でない 72 例を対象に,第 2 相国際共同単群試験を行った.参加者にベルズチファン 120 mg を 1 日 1 回投与し,進行,忍容できない毒性,試験からの脱落のいずれかが発生するまで継続した.主要評価項目は,確定された客観的奏効(完全奏効または部分奏効)とし,盲検下独立中央判定により評価した.副次的評価項目は,奏効期間,疾患コントロール,盲検下独立中央判定で評価した無増悪生存,全生存,安全性とし,降圧薬の 1 日総投与量のベースラインからの減少などを重要な探索的評価項目とした.

結 果

追跡期間中央値 30.2 ヵ月(範囲 23.3~37.6)の時点で,確定された客観的奏効が得られた参加者の割合は 26%(95%信頼区間 [CI] 17~38)であり,疾患コントロールが得られた参加者の割合は 85%(95% CI 74~92)であった.奏効期間の中央値は 20.4 ヵ月(95% CI 8.3~未到達)であり,無増悪生存期間の中央値は 22.3 ヵ月(95% CI 13.8~未到達)であった.24 ヵ月全生存率は 76%であった.降圧薬を服用していた 60 例のうち,19 例(32%)では,ベルズチファン投与開始後の少なくとも 6 ヵ月間に,1 種類以上の降圧薬の 1 日総投与量が 50%以上減少した.治療関連有害事象は 71 例(99%)に発現し,グレード 3 の貧血は 22%に認められた.重篤な治療関連有害事象は 8 例(11%)に発現した.

結 論

進行褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者において,ベルズチファンは抗腫瘍活性を示し,持続的な奏効が得られた.(メルク シャープ アンド ドーム社 [メルク社の子会社,ニュージャージー州ローウェイ] から研究助成を受けた.LITESPARK-015 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04924075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2012 - 22. )