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November 20, 2025 Vol. 393 No. 20
修飾 mRNA インフルエンザワクチンの有効性,免疫原性,安全性
Efficacy, Immunogenicity, and Safety of Modified mRNA Influenza Vaccine
D. Fitz-Patrick and Others
インフルエンザは,認可されたワクチンの使用にもかかわらず,依然として大きな健康負担となっている.ヌクレオシド修飾メッセンジャー RNA(modRNA)インフルエンザワクチンは,第 1・2 相試験でインフルエンザに対する有望な免疫原性と,許容可能な安全性プロファイルを示している.
第 3 相試験を行い,米国,南アフリカ,フィリピンで,2022~23 年インフルエンザ流行期に 18~64 歳の健康な成人を組み入れ,4 価の modRNA インフルエンザワクチンを接種する群(modRNA 群)と,認可されている不活化 4 価インフルエンザワクチンを接種する群(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,modRNA インフルエンザワクチンの相対的有効性とし,非劣性と優越性を検証した.相対的有効性は,modRNA ワクチンの接種後,少なくとも 14 日の時点でインフルエンザ様症状があり,検査でインフルエンザが確認された参加者の割合が,対照ワクチンと比較して少ないことと定義した.免疫原性は赤血球凝集抑制(HAI)試験で評価した.接種後 7 日以内の副反応,1 ヵ月までの有害事象,6 ヵ月までの重篤な有害事象を評価した.modRNA 群におけるワクチンの有効性,免疫原性,安全性を評価した.
計 18,476 人が無作為化され,9,225 人が modRNA ワクチン群,9,251 人が対照ワクチン群に割り付けられた.modRNA ワクチンの,対照ワクチンと比較したインフルエンザ様症状の防御における相対的有効率は,症例数が modRNA 群 57 例,対照群 87 例であったことから 34.5%(95%信頼区間 [CI] 7.4~53.9)であり,非劣性と優越性の両方の基準を満たした.症例の多くは A/H3N2 株と A/H1N1 株が原因であり,B 株が原因のものはわずかであった.HAI 試験での抗体反応の非劣性は,インフルエンザ A 株に対して示されたが,B 株に対しては示されなかった.主に軽度または中等度の副反応が両群で観察されたが,modRNA 群でより多く報告された(局所反応:70.1% 対 43.1%,全身性事象:65.8% 対 48.7%).発熱は modRNA 群の 5.6%と対照群の 1.7%に発現した.有害事象プロファイルは 2 群で同様であった.
modRNA ワクチンは,有効性に関して,対照ワクチンと比較して統計的優越性を示し,A/H3N2 株と A/H1N1 株に対する免疫反応が大きかったが,副反応が多いこととも関連した.(ファイザー社から研究助成を受けた.C4781004 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05540522)







