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November 27, 2025 Vol. 393 No. 21

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低リスクの急性心筋梗塞における経皮的冠動脈インターベンション後のアスピリンの早期中止
Early Discontinuation of Aspirin after PCI in Low-Risk Acute Myocardial Infarction

G. Tarantini and Others

背景

急性心筋梗塞に対する,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬 2 剤併用療法について,ガイドラインで推奨されている完全血行再建と,最新の薬剤溶出ステントによる治療が行われた場合の適切な期間は明らかにされていない.

方 法

欧州の 40 施設で多施設共同非盲検無作為化試験を行った.急性心筋梗塞を発症し,7 日以内に完全血行再建が行われて成功し,その後 1 ヵ月間の抗血小板薬 2 剤併用療法を,虚血または大出血のイベントが発生することなく完了した成人を,P2Y12 阻害薬の単剤療法に移行する群と,抗血小板薬 2 剤併用療法をさらに 11 ヵ月間継続する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,無作為化後 11 ヵ月の時点での全死因死亡,心筋梗塞,ステント血栓症,脳卒中,大出血(出血学術研究協議会 [BARC] タイプ 3 または 5 の出血イベントと定義)の複合とした(マージンを 1.25 パーセントポイントとして非劣性を検定).主な副次的評価項目は,無作為化後 11 ヵ月の時点での BARC タイプ 2,3,5 の出血(臨床的に重要な出血)とした(優越性を検定).

結 果

組み入れられた 2,246 例のうち,1,942 例が無作為化され,961 例が P2Y12 阻害薬の単剤療法を受ける群,981 例が抗血小板薬 2 剤併用療法を継続する群に割り付けられた.主要評価項目のイベントは,P2Y12 阻害薬単剤療法群では 20 例(2.1%)に発生し,抗血小板薬 2 剤併用療法群では 21 例(2.2%)に発生した(差 -0.09 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -1.39~1.20,非劣性の P=0.02).BARC タイプ 2,3,5 の出血の発生率は,P2Y12 阻害薬単剤療法群では 2.6%,抗血小板薬 2 剤併用療法群では 5.6%であった(ハザード比 0.46,95% CI 0.29~0.75,優越性の P=0.002).ステント血栓症の頻度は低く,発生率は 2 群で同程度であった.重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度と思われた.

結 論

急性心筋梗塞を発症し,早期に完全血行再建を受け,1 ヵ月間の抗血小板薬 2 剤併用療法を合併症を伴うことなく完了した低リスク患者において,P2Y12 阻害薬の単剤療法は,有害心血管・脳血管イベントの発生に関して,抗血小板薬 2 剤併用療法の継続に対して非劣性を示し,出血イベントの発生率は低かった.(マイクロポート社 [フランス] から研究助成を受けた.TARGET-FIRST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04753749)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2083 - 94. )