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November 27, 2025 Vol. 393 No. 21

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急性冠症候群に対する経皮的冠動脈インターベンション後のアスピリンの早期中止
Early Withdrawal of Aspirin after PCI in Acute Coronary Syndromes

P.O. Guimarães and Others

背景

急性冠症候群患者において,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の成功後にアスピリンを併用しない強力な P2Y12 阻害薬の単剤療法を開始することが,有効かつ安全であるかは明らかでない.

方 法

ブラジルで,PCI が成功した急性冠症候群患者を対象に,多施設共同非盲検無作為化試験を行った.患者を,入院後 4 日以内に,アスピリン投与を中止して強力な P2Y12 阻害薬(チカグレロルまたはプラスグレル)の単剤療法を行う群と,抗血小板薬 2 剤併用療法(アスピリンと強力な P2Y12 阻害薬)を行う群に 1:1 の割合で割り付け,12 ヵ月間投与した.順位付けした 2 つの主要転帰は,全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中,標的血管の緊急血行再建の複合(非劣性マージンを 2.5 パーセントポイントとして非劣性を検定)と,大出血または臨床的に重要な非大出血(優越性を検定)とし,12 ヵ月間評価した.

結 果

intention-to-treat 集団は 3,410 例であった(単剤療法群 1,712 例,抗血小板薬 2 剤併用療法群 1,698 例).12 ヵ月の時点で,全死因死亡,心筋梗塞,脳卒中,緊急血行再建は,単剤療法群では 119 例(Kaplan–Meier 推定値 7.0%)に発生しており,抗血小板薬 2 剤併用療法群では 93 例(Kaplan–Meier 推定値 5.5%)に発生していた(絶対リスク差 1.47 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.16~3.10,非劣性の P=0.11).大出血または臨床的に重要な非大出血は,単剤療法群では 33 例(Kaplan–Meier 推定値 2.0%)に発生しており,抗血小板薬 2 剤併用療法群では 82 例(Kaplan–Meier 推定値 4.9%)に発生していた(絶対リスク差 -2.97 パーセントポイント,95% CI -4.20~-1.73).ステント血栓症は,単剤療法群の 12 例と抗血小板薬 2 剤併用療法群の 4 例に発生した.

結 論

急性冠症候群に対する PCI が成功した患者において,強力な P2Y12 阻害薬の単剤療法は,12 ヵ月の時点での死亡と虚血性イベントの複合に関して,抗血小板薬 2 剤併用療法に対して非劣性を示さなかった.(ブラジル保健省から研究助成を受けた.NEOMINDSET 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04360720)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2095 - 106. )