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December 11, 2025 Vol. 393 No. 23

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高齢者の入院予防における高用量インフルエンザワクチンの有効性
High-Dose Influenza Vaccine Effectiveness against Hospitalization in Older Adults

N.D. Johansen and Others

背景

高用量の不活化インフルエンザワクチンは,インフルエンザに対する防御効果が標準用量のワクチンよりも高いことが示されている.しかし,重症転帰に対する有効性については,個人単位の無作為化試験のデータは限られている.

方 法

デンマークで,2022~23 年,2023~24 年,2024~25 年のインフルエンザシーズンに行った実用的非盲検無作為化比較試験で,高齢者(65 歳以上)を,高用量の不活化インフルエンザワクチンを接種する群と,標準用量ワクチンを接種する群に割り付けた.データの収集は,全国規模の行政保健データ登録に頼った.主要評価項目は,ワクチン接種後 14 日目から翌年の 5 月 31 日までに発生した,インフルエンザまたは肺炎による入院とした.

結 果

332,438 人が無作為化され,166,218 人が高用量ワクチン群,166,220 人が標準用量ワクチン群に割り付けられた.平均(±SD)年齢は 73.7±5.8 歳で,161,538 人(48.6%)が女性であった.主要評価項目イベントは,高用量群では 1,138 人(0.68%)に発生し,標準用量群では 1,210 人(0.73%)に発生した(相対的ワクチン有効率 5.9%,95.2%信頼区間 [CI] -2.1~13.4,P=0.14).インフルエンザによる入院の発生率は高用量群 0.06%,標準用量群 0.11%であり(相対的ワクチン有効率 43.6%,95.2% CI 27.5~56.3),肺炎による入院の発生率はそれぞれ 0.63%と 0.63%(相対的有効率 0.5%,95.2% CI -8.6~8.8),心臓・呼吸器疾患による入院の発生率は 2.25%と 2.38%(相対的有効率 5.7%,95.2% CI 1.4~9.9),あらゆる原因による入院の発生率は 9.38%と 9.58%(相対的有効率 2.1%,95.2% CI -0.1~4.3),全死因死亡の発生率は 0.67%と 0.66%(相対的有効率 -2.5%,95.2% CI -11.6~5.9)であった.重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

この試験では,高齢者に対し高用量の不活化インフルエンザワクチンを接種した場合,標準用量ワクチンを接種した場合と比較して,インフルエンザまたは肺炎による入院の発生率は有意に低くならなかった.(サノフィ社から研究助成を受けた.DANFLU-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05517174,EU Clinical Trials Register 番号 2022-500657-17-00)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2291 - 302. )