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December 11, 2025 Vol. 393 No. 23

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HER2 発現進行尿路上皮癌に対するジシタマブ ベドチン+トリパリマブ
Disitamab Vedotin plus Toripalimab in HER2-Expressing Advanced Urothelial Cancer

X. Sheng and Others

背景

ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)を標的とする抗体薬物複合体の単独療法は,化学療法抵抗性の HER2 陽性局所進行または転移性尿路上皮癌患者において予備的な臨床的有効性を示している.HER2 特異的ジシタマブ ベドチン(disitamab vedotin)は,この癌に対し,単独療法でも,プログラム細胞死蛋白 1(PD-1)を標的とする免疫療法との併用でも,抗腫瘍活性と安全性の点で有望であることが先行データで示されている.

方 法

第 3 相多施設共同非盲検無作為化試験で,HER2 を発現している(免疫組織化学染色スコアが 1+,2+,3+のいずれか),未治療の局所進行または転移性尿路上皮癌患者を,ジシタマブ ベドチン+PD-1 特異的トリパリマブ(toripalimab)の投与を 2 週ごとに行う群と,化学療法(ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン)を 3 週ごとに行う群に,1:1 の割合で割り付けた.無増悪生存期間(盲検下独立判定により評価)と全生存期間の 2 つを主要評価項目とした.副次的評価項目は,客観的奏効,安全性などとした.ここでは,事前に規定した無増悪生存期間の解析結果と全生存期間の中間解析結果を報告する.

結 果

484 例が無作為化された.追跡期間の中央値は 18.2 ヵ月であった.無増悪生存期間は,ジシタマブ ベドチン+トリパリマブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(中央値 13.1 ヵ月 対 6.5 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.36,95%信頼区間 [CI] 0.28~0.46,P<0.001).全生存期間も,ジシタマブ ベドチン+トリパリマブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(中央値 31.5 ヵ月 対 16.9 ヵ月,死亡のハザード比 0.54,95% CI 0.41~0.73,P<0.001).客観的奏効割合は,ジシタマブ ベドチン+トリパリマブ群 76.1%(95% CI 70.3~81.3),化学療法群 50.2%(95% CI 43.7~56.7)であった.ジシタマブ ベドチン+トリパリマブの安全性プロファイルは,化学療法よりも良好であり,グレード 3 以上の治療関連有害事象の発現率は,ジシタマブ ベドチン+トリパリマブの投与を受けた患者で 55.1%,化学療法を受けた患者で 86.9%であった.

結 論

HER2 を発現している,未治療の局所進行または転移性尿路上皮癌患者において,ジシタマブ ベドチン+トリパリマブによる転帰の改善は,化学療法よりも有意に大きかった.(レメジェン社ほかから研究助成を受けた.RC48-C016 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05302284,ChinaDrugTrials.org.cn 登録番号 CTR20220348)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2324 - 37. )