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December 11, 2025 Vol. 393 No. 23

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急性冠症候群に対する冠動脈手術後のチカグレロルとアスピリンの併用投与とアスピリン単独投与との比較
Ticagrelor and Aspirin or Aspirin Alone after Coronary Surgery for Acute Coronary Syndrome

A. Jeppsson and Others

背景

急性冠症候群に対する冠動脈バイパス術(CABG)後の抗血小板療法は,患者に利益をもたらす.アスピリンにチカグレロルを追加することで,アスピリン単独と比較して,有害な心血管転帰のリスクがさらに低下するかは明らかでない.

方 法

北欧の 22 ヵ所の心臓胸部手術センターで登録に基づく非盲検臨床試験を行い,患者を,急性冠症候群に対する CABG 後に 1 年間チカグレロルをアスピリンと併用投与する群と,アスピリンを単独投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は死亡,心筋梗塞,脳卒中,再血行再建の複合とし,1 年の時点で評価した.純臨床有害事象を重要な副次的転帰とし,主要転帰イベントまたは大出血と定義した.

結 果

2,201 例が,チカグレロル+アスピリン群(1,104 例)とアスピリン単独群(1,097 例)に無作為に割り付けられた.患者の平均年齢は 66 歳であり,14.4%が女性であった.主要転帰イベントは,チカグレロル+アスピリン群では 53 例(4.8%)に発生し,アスピリン単独群では 50 例(4.6%)に発生した(ハザード比 1.06,95%信頼区間 [CI] 0.72~1.56,P=0.77).純臨床有害事象は,チカグレロル+アスピリン群では 9.1%に発現し,アスピリン単独群では 6.4%に発現した(ハザード比 1.45,95% CI 1.07~1.97).大出血は,チカグレロル+アスピリン群では 4.9%に発生し,アスピリン単独群では 2.0%に発生した(ハザード比 2.50,95% CI 1.52~4.11).

結 論

急性冠症候群に対し CABG を受けた患者において,チカグレロルをアスピリンと併用投与しても,アスピリン単独投与と比較して,1 年の時点での死亡,心筋梗塞,脳卒中,再冠血行再建の発生率は低くならなかった.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.TACSI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03560310,EudraCT 登録番号 2017-001499-43,EU Clinical Trials Register 番号 2023-508551-40-00)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2313 - 23. )