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December 18, 2025 Vol. 393 No. 24

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結核性髄膜炎の成人に対する高用量経口リファンピンの試験
Trial of High-Dose Oral Rifampin in Adults with Tuberculous Meningitis

D.B. Meya and Others

背景

結核性髄膜炎は死にいたることが多く,生存者の多くは,抗菌薬治療と補助的グルココルチコイド療法にもかかわらず障害を負う.標準用量のリファンピン(rifampin)は,中枢神経系への浸透が限られている.高用量のリファンピンが,生存転帰を改善できるかは明らかにされていない.

方 法

インドネシア,南アフリカ,ウガンダで,結核性髄膜炎の成人を対象に二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験を行った.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染者と非重複感染者を,標準レジメンであるイソニアジド,リファンピン(10 mg/kg 体重),エタンブトール,ピラジナミドの連日投与に加え,追加のリファンピンを 8 週間投与する群(累積投与量 35 mg/kg,高用量群)と,マッチさせたプラセボを 8 週間投与する群(標準用量群)に割り付けた.治療コース(計 9~12 ヵ月)の残りの期間は,いずれの群にも標準療法を行った.主要転帰は 6 ヵ月死亡率とした.

結 果

intention-to-treat 集団は 499 例で(高用量群 249 例,標準用量群 250 例),うち 304 例(60.9%)が HIV 感染者であり,428 例(85.8%)が結核性髄膜炎の確実例・疑い例であった.6 ヵ月の追跡期間中に,高用量群では 109 例(Kaplan–Meier 推定値 44.6%)が死亡し,標準用量群では 100 例(Kaplan–Meier 推定値 40.7%)が死亡した(ハザード比 1.17,95%信頼区間 0.89~1.54,P=0.25).6 ヵ月以内に死亡した参加者における死亡までの期間の中央値は,高用量群 13 日(四分位範囲 4~39),標準用量群 24 日(四分位範囲 6~56)であった.薬剤性肝障害は,高用量群の 8.0%と標準用量群の 4.4%に発生したが,薬剤性肝障害による死亡はなかった.

結 論

結核性髄膜炎患者において,高用量リファンピンに有益な効果があることを示す証拠は認められず,有害な影響がある可能性を否定することができない.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.ISRCTN 登録番号 ISRCTN15668391)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2434 - 46. )