The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 18, 2025 Vol. 393 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

HPV ワクチン 1 回接種の 2 回接種に対する非劣性
Noninferiority of One HPV Vaccine Dose to Two Doses

A.R. Kreimer and Others

背景

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの複数回接種は有効であるにもかかわらず,世界では十分に用いられていない.新たなデータから,単回接種でも防御効果が得られる可能性が示唆されている.HPV ワクチンの単回接種に,2 回接種と同程度の防御効果があるかは明らかでない.

方 法

この試験では,HPV ワクチンの 1 回接種が 2 回接種に対して非劣性であるかを検討した.12~16 歳の女児を,2 価 HPV ワクチンを 1 回接種する群,2 回接種する群,9 価 HPV ワクチンを 1 回接種する群,2 回接種する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,12~60 ヵ月目に発生し,6 ヵ月以上持続する HPV 16 型または 18 型への新規感染とした.事前に規定した非劣性マージンは,100 人あたり 1.25 件の感染とした.ワクチンの有効性も評価するため,試験参加者における HPV 16 型または 18 型感染を,非無作為化調査に登録された女児・女性における HPV 16 型または 18 型感染と比較した.

結 果

20,330 人が登録・無作為化され,ワクチンを接種していない女児・女性 3,005 人が調査に登録された.非劣性解析により,HPV 16 型または 18 型感染の予防において,ワクチンの 1 回接種の,2 回接種に対する非劣性が示された.2 価ワクチンの 1 回接種と 2 回接種との感染率の差は,100 人あたり -0.13 件(95%信頼区間 [CI]-0.45~0.15,非劣性の P<0.001)であり,9 価ワクチンの 1 回接種と 2 回接種との感染率の差は,100 人あたり 0.21 件であった(95% CI-0.09~0.51,非劣性の P<0.001).ワクチンの有効率は各群 97%以上であった.安全性の懸念は認められなかった.

結 論

2 価 HPV ワクチンまたは 9 価 HPV ワクチンの 1 回接種は,いずれも HPV 16 型または 18 型感染に対する防御効果があり,2 回接種に対して非劣性を示した.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ESCUDDO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03180034)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2421 - 33. )