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July 24, 2025 Vol. 393 No. 4

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胃癌に対するトラスツズマブ デルクステカンとラムシルマブ+パクリタキセルとの比較
Trastuzumab Deruxtecan or Ramucirumab plus Paclitaxel in Gastric Cancer

K. Shitara and Others

背景

トラスツズマブ デルクステカンは,第 2 相試験に基づき,トラスツズマブベースの治療歴があるヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陽性転移性胃癌または食道胃接合部腺癌の患者に対して承認された.ラムシルマブ+パクリタキセルも,HER2 発現状況にかかわらず,標準的な二次治療の選択肢である.

方 法

トラスツズマブベースの治療中に進行し,腫瘍生検で HER2 陽性が確認された転移性胃癌または食道胃接合部腺癌の患者を対象に,二次治療として,トラスツズマブ デルクステカン 6.4 mg/kg 体重とラムシルマブ+パクリタキセルとを比較する国際共同無作為化第 3 相試験を行った.主要評価項目は全生存とした.副次的評価項目は,無増悪生存,確定された客観的奏効(4 週間以上持続する完全奏効または部分奏効),疾患コントロール,奏効期間,安全性などとした.

結 果

無作為化された 494 例において,全生存期間は,トラスツズマブ デルクステカン群のほうがラムシルマブ+パクリタキセル群よりも有意に長かった(中央値 14.7 ヵ月 対 11.4 ヵ月,死亡のハザード比 0.70,95%信頼区間 [CI] 0.55~0.90,P=0.004).無増悪生存期間の結果も有意であり(病勢進行または死亡のハザード比 0.74,95% CI 0.59~0.92),確定された客観的奏効割合の結果も有意であった(トラスツズマブ デルクステカン群 44.3% 対 ラムシルマブ+パクリタキセル群 29.1%).全グレードの薬剤関連有害事象の発現率は,トラスツズマブ デルクステカン群 93.0%,ラムシルマブ+パクリタキセル群 91.4%であり,グレード 3 以上の薬剤関連有害事象の発現率は,それぞれ 50.0%と 54.1%であった.薬剤関連と判定された間質性肺疾患または肺臓炎は,トラスツズマブ デルクステカンを投与された患者では 13.9%に発現し(グレード 1 または 2 が 33 例,グレード 3 が 1 例),ラムシルマブ+パクリタキセルを投与された患者では 1.3%に発現した(グレード 3 が 2 例,グレード 5 が 1 例).

結 論

HER2 陽性転移性胃癌または食道胃接合部腺癌の患者にトラスツズマブ デルクステカンを投与した場合,ラムシルマブ+パクリタキセルを投与した場合と比較して,全生存期間は有意に長かった.有害事象の頻度は両群とも高かった.トラスツズマブ デルクステカンのリスクとして知られる間質性肺疾患または肺臓炎の有害事象は,大部分が低グレードであった.(第一三共社,アストラゼネカ社から研究助成を受けた.DESTINY-Gastric04 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04704934)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 336 - 48. )