小細胞肺癌に対する白金製剤ベースの化学療法後のタルラタマブ
Tarlatamab in Small-Cell Lung Cancer after Platinum-Based Chemotherapy
G. Mountzios and Others
タルラタマブは,デルタ様リガンド 3 を標的とする二重特異性 T 細胞誘導抗体による免疫療法薬であり,治療歴のある小細胞肺癌患者の治療薬として迅速承認された.初回の白金製剤ベースの化学療法中または終了後に進行した小細胞肺癌患者の治療に,タルラタマブが化学療法よりも有効であるかは明らかでない.
白金製剤ベースの化学療法中または終了後に進行した小細胞肺癌患者の二次治療として,タルラタマブと化学療法とを比較する国際共同第 3 相非盲検試験を行った.患者を,タルラタマブの投与を行う群と,化学療法(トポテカン [topotecan],ルルビネクテジン [lurbinectedin],アムルビシンのいずれか)を行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存とした.試験担当医師の判定による無増悪生存と,患者報告アウトカムを重要な副次的評価項目とした.事前に規定した中間解析(データカットオフ日 2025 年 1 月 29 日)の結果を報告する.
509 例が無作為化され,タルラタマブ群(254 例)と化学療法群(255 例)に割り付けられた.全生存期間は,タルラタマブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(中央値 13.6 ヵ月 [95%信頼区間 {CI} 11.1~未到達] 対 8.3 ヵ月 [95% CI 7.0~10.2];死亡の層別化ハザード比 0.60,95% CI 0.47~0.77,P<0.001).タルラタマブ投与は,化学療法と比較して,無増悪生存期間と,癌に関連する呼吸困難および咳嗽に有意な利益ももたらした.グレード 3 以上の有害事象の発現率は,タルラタマブ群のほうが化学療法群よりも低く(54% 対 80%),投与中止にいたった有害事象の発現率も同様であった(5% 対 12%).
白金製剤ベースの化学療法中または終了後に進行した小細胞肺癌患者にタルラタマブを投与した場合,化学療法を行った場合と比較して,全生存期間は長かった.(アムジェン社から研究助成を受けた.DeLLphi-304 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05740566)