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August 7, 2025 Vol. 393 No. 6

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進行乳癌に対する蛋白質分解誘導キメラ分子エストロゲン受容体分解薬ベプデゲストラント
Vepdegestrant, a PROTAC Estrogen Receptor Degrader, in Advanced Breast Cancer

M. Campone and Others

背景

ベプデゲストラント(vepdegestrant)は,ユビキチン–プロテアソーム系を直接利用する,経口の蛋白質分解誘導キメラ分子(PROTAC)エストロゲン受容体(ER)分解薬である.

方 法

第 3 相非盲検無作為化試験で,ER 陽性ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性進行乳癌を有し,サイクリン依存性キナーゼ 4 および 6(CDK4/6)阻害薬による 1 ラインの前治療歴と,内分泌療法による 1 ラインの前治療歴(ほかにも内分泌療法歴がある場合は 1 ラインまで許容)がある患者を組み入れた.患者を,28 日を 1 サイクルとして,ベプデゲストラント 200 mg を 1 日 1 回経口投与する群と,フルベストラント 500 mg をサイクル 1 の 1 日目と 15 日目,その後のサイクルの 1 日目に筋肉内投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は ESR1 変異状態と,内臓病変の有無で層別化した.主要評価項目は,ESR1 変異陽性の患者と,無作為化された患者全例それぞれにおいて,盲検下独立中央判定により評価した無増悪生存とした.無増悪生存期間は Kaplan–Meier 法で推定し,ハザード比は層別化 Cox 比例ハザードモデルで推定した.

結 果

624 例が無作為化され,313 例がベプデゲストラント群,311 例がフルベストラント群に割り付けられた.ESR1 変異陽性の 270 例における無増悪生存期間の中央値は,ベプデゲストラント群で 5.0 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 3.7~7.4),フルベストラント群で 2.1 ヵ月(95% CI 1.9~3.5)であった(ハザード比 0.58 [95% CI 0.43~0.78],P<0.001).患者全例における無増悪生存期間の中央値は,ベプデゲストラント群で 3.8 ヵ月(95% CI 3.7~5.3),フルベストラント群で 3.6 ヵ月(95% CI 2.6~4.0)であった(ハザード比 0.83 [95% CI 0.69~1.01],P=0.07).グレード 3 以上の有害事象は,ベプデゲストラント群では 23.4%,フルベストラント群では 17.6%に発現した.投与中止にいたった有害事象は,それぞれ 2.9%と 0.7%に発現した.

結 論

ER 陽性 HER2 陰性進行乳癌患者において,ベプデゲストラントは,フルベストラントと比較して,ESR1 変異陽性サブグループでは無増悪生存期間が有意に長いことと関連したが,患者集団全体では関連しなかった.(ファイザー社,アルビナス エストロゲン レセプター社から研究助成を受けた.VERITAC-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05654623)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 556 - 68. )