September 4, 2025 Vol. 393 No. 9
早期梅毒に対するベンザチンペニシリン G の単回投与と 3 回投与との比較
One Dose versus Three Doses of Benzathine Penicillin G in Early Syphilis
E.W. Hook III and Others
早期(第 1 期,第 2 期,早期潜伏)梅毒(梅毒トレポネーマ [Treponema pallidum] 感染)の人に対する,ベンザチンペニシリン G(benzathine penicillin G)治療の適切な期間については議論が続いている.
多施設共同無作為化比較非劣性試験で,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の有無にかかわらず早期梅毒を有する人を,ベンザチンペニシリン G 240 万単位を単回筋肉内投与する群と,240 万単位を週 1 回の間隔で連続 3 回筋肉内投与する群に割り付けた.主要評価項目は,6 ヵ月の時点での血清反応の陰転,または迅速血漿レアギン試験で希釈倍数が 2 段階以上低下することとし,これらを「血清学的反応」(非劣性マージン 10 パーセントポイント)とする.HIV 感染の有無で定義したサブグループにおける血清学的反応を重要な副次的評価項目とし,これも非劣性解析で評価した.
早期梅毒の人 249 例が登録された.大部分は男性(97%)であり,62%が黒人,153 例(61%)が HIV 感染者であった.梅毒の病期分布は,第 1 期梅毒が 19%,第 2 期梅毒が 47%,早期潜伏梅毒が 33%であった.6 ヵ月の時点で血清学的反応が認められた割合は,単回投与群で 76%(95%信頼区間 [CI] 68~82),3 回投与群で 70%(95% CI 61~77)であった(差 -9 パーセントポイント,90% CI -15~3,非劣性を示す).臨床的再発や治療失敗は,いずれの群にもみられなかった.HIV 感染の有無別では,6 ヵ月の時点で血清学的反応が認められた割合は,単回投与群では HIV 感染者で 76%,非感染者で 76%であり,3 回投与群では HIV 感染者で 71%,非感染者で 70%であった.各群で,参加者の大部分に,投与に伴う局所注射部位疼痛および圧痛が認められた(単回投与群 76%,3 回投与群 85%).
ベンザチンペニシリン G 240 万単位の単回投与は,投与後 6 ヵ月の時点での血清学的反応に関して,3 回投与に対して非劣性であった.(米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03637660)