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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 15, 2002
Vol. 347 No. 7

  • バクテリアの新しい菌株と慢性肺疾患の増悪
    New Strains of Bacteria and Exacerbations of Chronic Lung Disease

    バクテリアの新しい菌株と慢性肺疾患の増悪

    この前向き研究では,慢性閉塞性肺疾患の外来患者 81 例より毎月採取した痰サンプルからのバクテリア分離株の変化を調査した.肺疾患の急性増悪は 374 件あり,それらは Haemophilus influenzaeMoraxella catarrhalisStreptococcus pneumoniae の新しい菌株の獲得と有意に関連していた(いずれかの新しい菌株に対して相対リスク,2.15).痰中のバクテリアの新しい菌株の出現を認めた受診の 33%で,増悪と診断された.
    慢性肺疾患に対する過去の研究では,臨床症状の増悪と痰中のバクテリア病原体の存在に関連性はみられなかった.この注意深く行われた研究は,特定のバクテリア菌株を同定するのに近代的な技術を用いて,臨床症状の悪化と新しいバクテリア菌株の存在とのあいだの関係を示している.

  • 進行した消化管間質腫瘍に対するメシル酸イマチニブ
    Imatinib Mesylate in Advanced Gastrointestinal Stromal Tumors

    進行した消化管間質腫瘍に対するメシル酸イマチニブ

    切除不可能なまたは転移性の消化管間質腫瘍は,従来の化学療法が奏効せず,通常 12~18 ヵ月以内に死にいたる.消化管間質腫瘍の大半は,膜貫通型チロシンキナーゼ受容体である KIT に欠陥がある.この異常は細胞の死を妨げ,細胞を増殖させる.KIT による異常なシグナル伝達を阻止するメシル酸イマチニブの効果を,進行した消化管間質腫瘍を有する患者 147 例を対象に検討した.完全寛解は得られなかったが,約半数の患者が安定した部分寛解となった.
    まれな種類の腫瘍を有する比較的多数の患者を対象としたイマチニブに関するこの試験は,有望な結果をもたらした.この薬剤で本当に延命できるかどうかを判断するためにはより長期の追跡調査が必要であろう.それでも,一般的に予後が絶望的な疾患におけるこれらの結果は励みになる.

  • 慢性骨髄増殖性疾患患者に対するメシル酸イマチニブ
    Imatinib Mesylate in Chronic Myeloproliferative Diseases

    慢性骨髄増殖性疾患患者に対するメシル酸イマチニブ

    メシル酸イマチニブは,3 種の蛋白チロシンキナーゼ;ABL,KIT,血小板由来増殖因子受容体 β (PDGFRB)の活性を阻止する.これらのキナーゼは,慢性骨髄性白血病(ABL),消化管間質腫瘍(KIT),およびある種の骨髄増殖性疾患(PDGFRB)において決定的な役割を担っている.前 2 種の腫瘍は,メシル酸イマチニブに反応することが明らかになっている.この論文は,患者 4 例において,再構成された PDGFRB 遺伝子が関与する骨髄増殖性疾患もこの薬剤に反応したことを報告している.
    これらの知見は,PDGFRB というチロシンキナーゼの異常に起因する腫瘍がイマチニブに反応するはずだという予測を実現している.イマチニブは,分子生物学と分子薬理学の融合に基づく医学の進歩を示す好例である.

  • BK 型ポリオーマウイルスの複製と同種移植片腎症
    Polyomavirus BK Replication and Allograft Nephropathy

    BK 型ポリオーマウイルスの複製と同種移植片腎症

    ポリオーマウイルス BK(BKV)腎症は,同種腎移植片不全の原因として新たに浮上しているが,タクロリムスやミコフェノール酸モフェチルを用いた免疫抑制療法に関連している可能性がある.この前向き単一施設研究では,そのようなレジメンで治療されている腎移植レシピエント 78 例について,尿中にウイルス封入体を伴う細胞が含まれるかを検査し,血漿中 BKV DNA を測定し,腎症を証明するため腎生検標本を評価した.BKV 腎症が起った患者 5 例中 4 例は,移植前に BKV 抗体をもっていた 77%の患者の中に含まれていた.BKV 腎症の確率は 8%であった(95%信頼区間 1~15%).
    尿の細胞診と血漿の定量的ポリメラーゼ連鎖反応法は,腎移植レシピエントに対する BKV 複製と関連腎症に対する有用で非侵襲的なモニタリング方法かもしれない.

  • Clinical Practice:閉塞性睡眠時無呼吸
    Clinical Practice: Obstructive Sleep Apnea

    Clinical Practice:閉塞性睡眠時無呼吸

    43 歳の男性が,重度のいびきで受診した.睡眠中にときどき呼吸が止まと患者のベッドパートナーが報告している.患者は高血圧であるが,薬で管理をしており,それ以外は健康である.彼は運転中にときどき眠気を感じると認めているが,車の事故は起したことはない.体格指数は 33 で首周りが大きい(46 cm).患者をどのように評価し,治療するべきであろうか?
    この論文では,閉塞性睡眠時無呼吸の診断と管理について議論している.

  • 最近の概念:海外旅行後の疾患
    Current Concepts: Illness after International Travel

    最近の概念:海外旅行後の疾患

    海外旅行後,旅行者の最高 5%の人が病院に駆け付けるほどの病気になる.この総説では,先進国から発展途上国に旅行した人にもっともよくみられる,重篤な疾患に焦点を置いている.著者らは,海外旅行後にこれらの症状を示す患者における発熱,持続性下痢,および皮膚病変の診断と管理に対する実践的な手引きを提供している.