The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 16, 2003
Vol. 348 No. 3

ORIGINAL ARTICLES

  • 小児における初回の尿路感染症後の画像検査
    Imaging Studies after a First Urinary Tract Infection in Children

    小児における初回の尿路感染症後の画像検査

    腎画像が,初回の尿路感染症が確認された小児に対して推奨されている.この前向き研究では,年齢が 1 ヵ月~2 歳の小児 309 例に対し,尿路感染症の診断後 72 時間以内に腎画像検査(テクネシウム 99m で標識されたジメルカプトコハク酸を用いたスキャニングと腎超音波検査)を行い,1 ヵ月後に排尿時膀胱尿道造影を行った.6 ヵ月後に再度スキャニングを行った.管理は,小児の 12%にみられた超音波検査異常の所見によって変更されなかった.尿検査や尿培養によるモニタリングは,画像検査と同程度に有用であるように思われる.
    初回の尿路感染症後の幼児に対し,画像検査を定期的に行うことは,臨床的な有用性がほとんどないと思われる.

  • 上皮性卵巣癌における腫瘍内 T 細胞と再発および生存率
    Intratumoral T Cells, Recurrence, and Survival in Epithelial Ovarian Cancer

    上皮性卵巣癌における腫瘍内 T 細胞と再発および生存率

    進行した卵巣癌に対する治療の転帰は,臨床所見や病理所見が似ている患者のあいだでも大幅に異なる.患者 186 例から採取した腫瘍に対するこの免疫組織化学的研究では,腫瘍内の T 細胞の存在が,良好な転帰と強く関連していたのに対し,T 細胞の欠如は不良な転帰と関連していた.
    これらの結果は,抗腫瘍免疫反応が進行卵巣癌の転帰に対して強い影響を与えるという,有力な,間接的証拠である.ほかの腫瘍研究における同様の結果は,免疫系が癌に対する防御に関与しているという理論を支持している.

  • 欠陥のある気管支鏡に関連した緑膿菌感染の集団発生
    Outbreaks of P. aeruginosa Associated with Defective Bronchoscopes

    欠陥のある気管支鏡に関連した緑膿菌感染の集団発生

    本誌今週号の 2 つの論文は,病院における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染の集団発生について報告している.双方の事例とも, P. aeruginosa 感染頻度の増加は気管支鏡検査と関連していた.一方の研究では,患者から単離された菌株が,生検ポートキャップがゆるい気管支鏡から単離された菌株と遺伝的に区別できなかった.
    内視鏡は院内感染の集団発生にもっとも多く関連する器具である.双方の研究で報告された集団発生には,殺菌処置を無効にするような欠陥のある気管支鏡が関与していた.この経験内容は,このような感染に対する徹底的な監視,および欠陥のある医療器具のよりよい回収法の必要性を強調している.

SPECIAL ARTICLE

  • ガーゼおよび器具の置き忘れ
    Outbreaks of P. aeruginosa Associated with Defective Bronchoscopes

    この研究は,術後にガーゼまたは器具の置き忘れがあった患者と,同じタイプの手術を受けたが異物の置き忘れがなかった対照患者の特徴を比較した.これらは大手医療過誤保険会社を介して同定された.異物残留の独立した予測因子は,緊急手術,予定外の手技の変更,および体格指数が高いことであった.異物の置き忘れがあった患者は,対照患者に比べて器具およびガーゼの計数が行われた割合が低かったが,大部分の事例ではこのような計数が行われ,正しい数であったと記録されていた.
    これらの知見の意味は,患者とその手技の双方の特性が,ガーゼや器具の置き忘れのリスク増加に関連しているということである.この種の解析法は,ほかの医療過誤を解明し,その予防法を提案するうえで有用であろう

CLINICAL PRACTICE

  • 虫垂炎の疑い
    Suspected Appendicitis

    その他の点では健康な 22 歳の女性が,18 時間持続する右下腹部の急性腹痛のため,救急診療部を訪れている.診察では,患者に熱はなく,深部への触診では右下腹部に圧痛が認められ,腹膜刺激の徴候はない.骨盤検査では,腫瘤のない右側付属器に圧痛がみられる.この患者を,さらにどのように評価すべきだろうか?