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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 11, 2004
Vol. 351 No. 20

ORIGINAL ARTICLES

  • 黒人の心不全患者における硝酸イソソルビドとヒドララジン
    Isosorbide Dinitrate and Hydralazine in Blacks with Heart Failure

    黒人の心不全患者における硝酸イソソルビドとヒドララジン

    黒人の心不全患者を対象としたこの臨床試験では,心不全の標準療法に加え硝酸イソソルビドとヒドララジンの配合剤を投与することで,生存率が有意に向上することが示された.この研究には白人患者は含まれていないが,これは,過去のデータを後ろ向きに解析したところ,有益でないことが示唆されたためである.臨床的に重要な生存率の改善の機序は明らかではないが,これらの薬剤の併用による一酸化窒素の増加と関連している可能性がある.

  • 冠動脈疾患における ACE 阻害薬
    ACE Inhibition in Coronary Artery Disease

    アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は,左室収縮機能障害患者や心不全患者の転帰を改善する.アンジオテンシン変換酵素阻害薬によるイベント予防(PEACE)試験の研究者らが,安定冠動脈疾患で左室機能が正常かわずかに低下している患者を対象に,ACE 阻害薬トランドラプリルの効果を検討したが,利益は確認されなかった.
    この試験は,冠動脈疾患ですでに最新の治療を最大限に受けている患者では,ACE 阻害薬の有効性に限界があることを,明確に示していると考えられる.

  • クローン病に対する抗インターロイキン 12 抗体
    Anti-Interleukin-12 Antibody for Crohn's Disease

    インターロイキン 12 は,クローン病の炎症性腸疾患に関与することが示されてきたサイトカインである.この第 II 相試験では,抗インターロイキン 12 モノクローナル抗体の投与を受けた患者とプラセボ群患者とで,有害事象の発生率は同程度であったが,投与部位の局所反応の発生率は抗体投与群のほうが高かった.臨床反応率と寛解率は抗体投与を受けた患者のほうが高かったが,ほとんどの場合その差は有意ではなかった.
    この小規模試験から,インターロイキン 12 p40 を標的とするモノクローナル抗体は,クローン病に対する生物活性をもつ可能性があることを示唆する,予備的なデータが得られた.

BRIEF REPORT

  • ミトコンドリア DNA の欠損と早期の致命的な肝性脳症
    Defects in Mitochondrial DNA and Early Fatal Hepatoencephalopathy

    ミトコンドリア DNA の欠損と早期の致命的な肝性脳症

    ミトコンドリアの酸化的リン酸化過程に関与する酵素が,1 つ以上欠損することに関連している疾患の原因は,明らかではない.この研究では,1 つの可能性のある原因が示唆されている.著者らは,早期の致命的な肝性脳症を呈する 2 組の同胞において,ミトコンドリアの翻訳機構を構成する物質をコードする遺伝子の変異を同定した.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 中間径フィラメント蛋白
    Intermediate Filament Proteins

    中間径フィラメント蛋白

    中間径フィラメントは,細胞骨格を構成し,細胞をストレスから守る.この包括的な総説では,中間径フィラメント遺伝子は 100 以上存在し,中間径フィラメントの変異蛋白は,30 以上の疾患の原因となることに注目している.特定の組織におけるこれらの遺伝子の選択的発現が,単純型先天性表皮水疱症や特定の種類の心筋症など,中間径フィラメント遺伝子の変異によって引き起される組織特異的疾患の原因となる.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 右側腹部に再発性の痛みと血尿を呈する男性
    A Man with Recurrent Pain in the Right Flank and Hematuria

    右側腹部に再発性の痛みと血尿を呈する男性

    45 歳の男性が,血尿を伴う右側腹部痛を呈した.造影剤を用いない CT スキャンで,右腎臓に非閉塞性結石が認められた.11 ヵ月後に起きた 2 回目の発作以降も結石は存在しており,新たに右腎盂拡張がみられた.医師らは,この患者をどのように評価し,治療すべきかについて論じている.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • 超早産と親の治療拒否権
    Extremely Preterm Birth and Parental Authority to Refuse Treatment

    1990 年,新生児科医が,両親の意向に反して超早産児を蘇生させた.小児は生存したが,重度の障害が残った.両親は,暴力行為と過失で病院を告訴した.2003 年,テキサス州最高裁は,医師と病院側に有利な判決を下した.判決によると,一瞬で生死を決断しなければならない状況に直面した医師は,未成年者に対して生命維持治療を行う場合に,両親の同意を得る必要はない.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 悪液質の経路
    Cachexia Pathways

    悪液質には 2 つの分子経路が関与しており,その両方がミオシン重鎖を標的としている.