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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 18, 2004
Vol. 351 No. 21

ORIGINAL ARTICLES

  • 濾胞性リンパ腫における腫瘍浸潤性の免疫細胞と生存期間
    Tumor-Infiltrating Immune Cells and Survival in Follicular Lymphoma

    濾胞性リンパ腫における腫瘍浸潤性の免疫細胞と生存期間

    濾胞性リンパ腫患者は,1 年未満から数十年生存すると考えられる.この研究では,濾胞性リンパ腫の標本の遺伝子発現を DNA マイクロアレイで解析したところ,2 つの遺伝子発現特性が,高い精度で生存期間を予測することが明らかになった.驚くべきことに,一方の遺伝子発現特性は,正常な T 細胞で通常発現している遺伝子から成り,もう一方の遺伝子発現特性は,単球と樹状細胞で発現している遺伝子から成っていた.
    この研究から,濾胞性リンパ腫について 2 つの重要な見解が得られる.すなわち,分子生物学的手法を利用すれば予後の正確な層別化が可能であるということ,そして,腫瘍浸潤性の免疫細胞が予後予測に関して重要な役割を担っているということである.

  • 急性虚血性脳卒中に対する超音波増強血栓溶解療法
    Ultrasound-Enhanced Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke

    急性虚血性脳卒中の患者において,血栓溶解療法の有効性は一貫していない.この第 II 相試験では,組織プラスミノーゲン活性化因子による血栓溶解療法時に,中大脳動脈に残る閉塞を標的とした経頭蓋超音波ドップラー検査を行った結果,動脈の再開通が改善された.血栓溶解療法の効果が超音波により増強されるのは,薬物が血栓に到達しやすくなるためと考えられる.この方法が神経の回復に与える効果を調べるためには,より大規模な試験が必要である.

  • 早産と後年のインスリン抵抗性
    Prematurity and Later Insulin Resistance

    在胎期間に比して小さい満期産児は,後年,にインスリン抵抗性を示す傾向がある.この研究では,早産で生まれた 4~10 歳の小児において,インスリン感受性を測定した.インスリン感受性が単独で低下していたのは,早産で生まれたが出生時体重が在胎期間に見合っていた小児と,早産で生まれ在胎期間に比して小さかった小児の双方で認められた.このことは,早産児では,メタボリックシンドロームや 2 型糖尿病のリスクが高い可能性があることを示唆している.

SPECIAL ARTICLE

  • メディケイドの事前承認と選択的シクロオキシゲナーゼ-2 阻害薬の使用
    Medicaid Prior Authorization and the Use of Selective Cyclooxygenase-2 Inhibitors

    一部の州のメディケイドプログラムでは,費用を抑えるために,選択的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬の処方に事前承認を必要とする政策を導入した.この研究では,このような制度が導入された結果,非ステロイド性抗炎症薬の処方全体に COX-2 阻害薬の使用が占める割合が 15%減少し,薬剤費が大きく減少したことが明らかになった.

CLINICAL PRACTICE

  • 急性心膜炎
    Acute Pericarditis

    急性心膜炎

    他の点では健康な 35 歳の女性に,胸骨下痛が 2 日間続いている.疼痛は横になると悪化し,起き上って前かがみになると改善する.身体診察では,患者に熱はなく,摩擦音が聴取される.12 誘導心電図では,広範な ST 上昇と同時に PR 低下が認められる.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • H1-抗ヒスタミン薬
    H1-Antihistamines

    ヒスタミンは,H1-受容体を介し,生理学的反応,神経伝達,アレルギー性炎症,免疫調節において,化学伝達物質としての重要な役割を担っている.これらの作用の治療に有用な H1-抗ヒスタミン薬のほとんどは,アレルギー性鼻結膜炎や慢性蕁麻疹に同等の有効性を示す.しかしそれらの薬剤の薬理学や安全性プロファイルには,臨床的に重要な相違点が存在する.
    この論文では,H1-抗ヒスタミン薬の合理的な選択法を提案する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 末期腎疾患と皮膚肥厚を呈する男性
    A Man with End-Stage Renal Disease and Thickening of the Skin

    末期腎疾患と皮膚肥厚を呈する男性

    長期にわたる糖尿病に,網膜症,神経障害,腎不全を合併した 68 歳の男性に,四肢の皮膚肥厚と膝,肘,指,足趾の屈曲拘縮が発症した.男性は歩行ができず,両踵に治癒していない潰瘍が認められた.検査では,四肢に硬化した茶色の色素斑が認められた.診断手技が行われた.