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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 17, 2005
Vol. 352 No. 11

ORIGINAL ARTICLE

  • セレコキシブに関連した心血管リスク
    Cardiovascular Risk Associated with Celecoxib

    セレコキシブに関連した心血管リスク

    この研究者らは,大腸腺腫の予防に関するセレコキシブの臨床試験で得られたデータを用いて,3 年間の追跡期間における心血管イベントを解析した.心血管系が原因の死亡,心筋梗塞,脳卒中,心不全から成る複合転帰のリスクは,用量依存的に増加した.ハザード比は用量 200 mg で 2.3,400 mg で 3.4 であった.この結果から,セレコキシブの使用は心血管イベントの重大なリスクに関連するという懸念が生じる.

  • 冠動脈バイパス術後の COX-2 阻害薬と心血管リスク
    COX-2 Inhibition and Cardiovascular Risk after CABG Surgery

    バルデコキシブとその静脈注射用プロドラッグであるパレコキシブは,冠動脈バイパス術後の疼痛管理を目的として投与する場合,患者で心血管系の血栓塞栓性イベントのリスクが上昇することと関連していることが明らかになった.この知見は,COX-2 阻害薬の使用により,とくに心血管イベントのリスクがある人において,そういったイベントのリスクが上昇するという懸念を増大させるものである.

  • ロフェコキシブに関連する心血管イベント
    Cardiovascular Events Associated with Rofecoxib

    大腸腺腫に対するこの化学予防臨床試験では,ロフェコキシブの使用が,心血管イベント,主に心筋梗塞と虚血性脳血管系のイベントのリスクの有意な上昇と関連していることが明らかとなった.ロフェコキシブは製造元によって市場から撤去されているが,今後,ロフェコキシブの使用に関して決定を行うさいには,いかなる場合もこれらのデータを慎重に考慮する必要がある.

  • 臓器移植による狂犬病感染
    Transmission of Rabies by Organ Transplantation

    臓器移植による狂犬病感染

    腎臓,肝臓,動脈の移植を同一ドナーから受けた患者 4 例で,神経症状が悪化し,その後致死的な脳炎が発生した.さまざまな検査から,レシピエント 4 例の中枢神経系組織と移植臓器内の神経組織において,狂犬病ウイルスが検出された.ドナーは,くも膜下出血を起すまでは健康であったと考えられた.このドナーがコウモリに咬まれたと友人に話していたことは,後に判明した.

CURRENT CONCEPTS

  • セロトニン症候群
    The Serotonin Syndrome

    セロトニン症候群

    セロトニン症候群は,生命を脅かす可能性のある薬物反応であり,治療薬の使用,薬物の過剰服用,薬物間相互作用によって生じる可能性がある.
    この総説では,セロトニン症候群の診断に結び付く臨床所見,毒性のメカニズム,関与する頻度のもっとも高い薬物および相互作用について解説している.臨床管理としては,興奮状態,自律神経不安定症,高熱をコントロールする措置が取られている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 右大腿に疼痛を訴える男児
    A Boy with Pain in the Right Thigh

    10 歳の男児が右大腿に疼痛を訴えた.男児は,疼痛により活動が妨げられ,夜間に目が覚めるほどであった.疼痛はアセトアミノフェンを用いてもわずかしか緩和しなかった.核磁気共鳴画像法と放射性核種骨スキャンでは,大腿骨内に広範囲の異常が認められた.CT ガイド下生検は男児が興奮したため実施できなかったが,CT 画像では,皮質に高密度の骨に取り囲まれた小さな溶解性病変が認められた.診断検査と治療を行った.

SPECIAL REPORT

  • 米国における平均余命の短縮の可能性
    A Potential Decline in Life Expectancy in the United States

    この 100 年ほどのあいだに,先進国では全体的に平均余命が延長する傾向がみられている.この“Special Report”で著者らは,肥満,そしておそらく感染性疾患のため,21 世紀には平均余命が短縮するであろうと主張している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 遺伝子発現の調節
    Regulating Gene Expression

    適切なレベルの遺伝子発現を,適切な時期に適切な場所で達成することは,遺伝子治療の重要な目標の 1 つである.新しい研究で,この目標を実現させる方法が示されている.