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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 9, 2008
Vol. 359 No. 15

ORIGINAL ARTICLE

  • COPD に対するチオトロピウムの 4 年間の試験
    A 4-Year Trial of Tiotropium in COPD

    この大規模無作為化試験では,チオトロピウムまたはプラセボの 1 日 1 回の吸入を受けた慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の転帰が比較された.経時的な肺機能低下に対しては治療の有益性は認められなかったが,いくつかの副次的エンドポイントには有益性が認められた.

  • 母体へのインフルエンザワクチン接種が母親と乳児に与える効果
    Effect of Maternal Influenza Immunization on Mothers and Infants

    インフルエンザ感染は,妊娠女性と新生児において重大な疾患の原因となる.バングラデシュの妊娠女性 340 例を対象としたこの無作為化試験では,妊娠中のインフルエンザワクチン接種により,新生児では臨床検査で確定診断されるインフルエンザ感染が 63%減少し,母親では熱性呼吸器疾患の発症が 1/3 以上減少することが明らかになった.

  • 糖尿病に対する血圧コントロール後の長期追跡調査
    Long-Term Follow-up after Control of Blood Pressure in Diabetes

    この試験後モニタリング調査では,厳格な血圧コントロールと緩やかな血圧コントロールのいずれかに割り付けられた 2 型糖尿病患者を追跡した.先行試験で改善したコントロールの利益は,両群間の血圧の差が消失後は持続しないことが示された.2 型糖尿病の高血圧患者に対する血圧コントロールの早期改善は,合併症リスクの低下と関連していたが,その利益を持続させるためにはコントロールを継続しなければならない.

  • 2 型糖尿病における強化血糖コントロールに関する 10 年間の追跡調査
    10-Year Follow-up of Intensive Glucose Control in Type 2 Diabetes

    UKPDS では,新たに 2 型糖尿病と診断された患者において,従来の食事療法と比較し,薬物療法により細小血管リスクが低下し,血糖コントロールが改善することが認められた.この研究は,それらの利益が 10 年間の追跡調査中持続するかどうかを検討するために行われた.血糖値の差は早期に消失したにもかかわらず,細小血管リスク低下は持続し,心筋梗塞と全死因死亡のリスクが新たに低下したことが認められた.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 乳房切除術後の乳房再建
    Breast Reconstruction after Mastectomy

    乳癌を有する 45 歳の女性が乳房切除術を受けること選択し,術後の乳房再建に関する評価のため形成外科医を紹介された.乳房再建によってボディイメージと性機能が回復し,QOL が向上する患者もいる.再建手術は,乳癌再発の発見の妨げにはならない.放射線治療が必要な患者には特別な配慮が必要である.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 胸部痛,関節痛,縦隔の腫瘤を有する男性
    A Man with Chest Pain, Arthralgias, and a Mediastinal Mass

    39 歳の男性が,胸部痛,関節痛,縦隔腫瘤のため当院に入院した.男性には,1 年前に心膜炎,5 年前に視神経炎の既往がある.診察では,第 1 心音は聴取されず,第 2 心音は大きくかつ顕著に分裂し,胸骨左縁上部に新たに収縮期駆出性雑音が聴取された.画像検査では,大動脈を取り囲み,主肺動脈と右肺動脈の内腔を狭めている浸潤性の縦隔腫瘤が示された.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 炎症とインフルエンザ
    Inflammation and Influenza

    H5N1 型インフルエンザウイルスがもたらす致死性は,一部には,プロスタグランジン E2(PGE2)を介する肺の「サイトカインストーム」によるものと考えられる.このウイルスに感染させ,抗ウイルス薬と PGE2 阻害薬を併用投与したマウスは,抗ウイルス薬を単独投与したマウスよりも生存能が高いことが,最近の研究で示されている.

VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE

  • 臍帯血管カテーテル挿入
    Umbilical Vascular Catheterization

    臍帯血管カテーテル挿入

    臍帯カテーテル挿入は,重症の新生児を治療する際に重要な技術である.カテーテルにより,蘇生,モニタリング,輸液投与,輸血,非経口栄養投与のための血管へのアクセスが可能になる.このビデオでは,臍動脈と臍静脈両方のカテーテル挿入を実演している.