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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
February 28, 2019
Vol. 380 No. 9
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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気管挿管中のバッグマスク換気
Bag-Mask Ventilation during Tracheal Intubation気管挿管中の低酸素血症は,心停止と死亡のリスクを上昇させる可能性がある.多施設共同試験で,気管挿管を受ける成人が,麻酔導入から喉頭鏡検査までのあいだバッグマスク換気を受ける群と受けない群に無作為に割り付けられた.バッグマスク換気群のほうが非換気群よりも酸素飽和度が高かった.
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卵巣癌におけるリンパ節郭清
Lymphadenectomy in Ovarian Cancer無作為化試験で,卵巣癌に対する手術中に肉眼的に正常に見えるリンパ節を切除することで,転帰が改善するかを評価した.切除した場合,しなかった場合と比較して,無増悪生存期間と全生存期間は変わらず,手術時間が長く,合併症が多いことに関連した.
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脱毛症における PADI3 変異体
Variant PADI3 in Alopecia頭頂部遠心性瘢痕性脱毛症は,アフリカ系女性で頻度が高い,瘢痕性脱毛症の一型である.この研究では,検討された女性の約 1/3 に遺伝的感受性があることが明らかにされた.蛋白を修飾する酵素 PADI3 に影響を及ぼす機能喪失型変異が,発毛に関与していた.
REVIEW ARTICLE
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親密なパートナーによる暴力
Intimate Partner Violence親密なパートナーによる暴力と支配は,女性と一部のマイノリティー集団に過剰に起こっている公衆衛生上の問題である.パートナーによる暴力に対処するための,実践レベルの,組織化されたアプローチにより,暴力を減らし,健康への影響を軽減することができる.
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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舌の紡錘形細胞肉腫
Spindle-Cell Sarcoma of the Tongue54 歳の男性が,食物の咀嚼困難を訴えて受診した.舌の右側の白斑の中央部に痛みのない褐色病変が増大しているという.生検で紡錘形細胞肉腫であることが判明した.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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右鼠径部の腫脹と発熱を呈した女性
A Woman with Swelling of the Right Groin and Fever慢性リンパ性白血病(CLL)の既往がある 73 歳の女性が,右鼠径部リンパ節腫脹,発熱,寝汗を訴えて受診した.最大リンパ節のコア生検の結果は,大細胞転化を伴わない CLL に一致した.診断のため追加検査が行われた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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癌における新生抗原
Neoantigens in Cancer癌細胞が免疫応答を引き出す能力は,癌細胞の新生抗原発現など,いくつかの要因に左右される.腫瘍細胞はいくつの新生抗原を発現するのであろうか? 異なる種類の腫瘍でも同じ新生抗原を発現するのであろうか? 最近の分析がいくつかの手がかりを提供している.
CORRESPONDENCE
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トランスジェンダーの若年者における卵母細胞の凍結保存
Oocyte Cryopreservation in a Transgender Youth複数の医学の学会が,トランスジェンダーと自認する人における生殖能力の保存を是認している.性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)作動薬を投与しているトランスジェンダーの思春期男児における,卵母細胞の凍結保存に対する集学的アプローチについて説明している.
Videos, Images, and Multimedia
BRIEF REPORT
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二人の双子の物語
A Tale of Two Twins一絨毛膜性双胎児とその両親の評価から,児はそれぞれ同じ母方アレルの組合せを受け継いでいる(すなわち,同じ卵子に由来する)ことと,それぞれがキメラ状態で,2 つの異なる組合せの父方アレルを受け継いでいる(すなわち,2 つの異なる精子の遺伝系統がそれぞれに存在する)ことが明らかになった.1.5 卵性(sesquizygosity)に関するイラスト付き用語解説と概要動画を NEJM.org でご覧いただけます.
NEJM QUICK TAKE
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卵巣癌におけるリンパ節郭清と生存
Lymphadenectomy and Survival in Ovarian Cancer一部の後ろ向き解析では,肉眼的に完全切除された進行卵巣癌患者における骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清による生存利益の可能性が示唆されている.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
MEDICINE AND SOCIETY AUDIO ROUNDTABLE
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医療におけるチームワーク ― 個人主義を重んじる文化はよりよいチームを育てられるようになるか?
Teamwork in Medicine ― Can a Culture That Prizes Individualism Learn to Foster Better Teams?医療はますますチームワークに依存するようになってきているが,医療職は,何がよいチームを生み出すかということにほとんど注意を向けていない.Lisa Rosenbaum の司会によるこの円卓会議では,パネリストの Thoralf Sundt,Neel Shah,Amy Edmondson が,よりよいチームの追求に向けた実証的アプローチや文化的アプローチについて論じている.