ORIGINAL ARTICLE
-
B.1.351 変異株に対する ChAdOx1 nCoV-19 ワクチンの有効性
2021 年 3 月 16 日
Efficacy of the ChAdOx1 Vaccine against the B.1.351 Variant南アフリカで行われた二重盲検無作為化試験で,ChAdOx1 nCoV-19 ワクチンの 2 回接種は,南アフリカで出現した SARS-CoV-2 の変異株 B.1.351 に対する有効性が低いことが示された.プラセボ接種者の 3.2%とワクチン接種者の 2.5%が Covid-19 に罹患した.罹患者は計 42 例で,39 例が B.1.351 変異株によるものであった.入院または死亡にいたった例はなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
重症 Covid-19 肺炎に対するトシリズマブ
2021 年 2 月 25 日
Tocilizumab in Severe Covid-19 Pneumonia重症 Covid-19 肺炎で入院した患者を対象とした無作為化試験で,438 例が抗インターロイキン-6 受容体モノクローナル抗体トシリズマブまたはプラセボの投与を受けた.トシリズマブの使用により,プラセボと比較して 28 日目の臨床状態が有意に良好となることも,死亡率が低くなることもなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
重症 Covid-19 におけるインターロイキン-6 受容体の阻害
2021 年 2 月 25 日
Interleukin-6 Receptor Blockade in Severe Covid-19新たに ICU に入室し,呼吸または血圧のサポートを必要とした患者を対象とした無作為化試験で,インターロイキン-6 受容体阻害薬のトシリズマブとサリルマブが,標準治療と比較検討された.臓器サポートを受けていない日数の中央値はトシリズマブ群で 10 日,サリルマブ群で 11 日,標準治療群で 0 日であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
イスラエルにおける mRNA ワクチン BNT162b2 の有効性
2021 年 2 月 24 日
Effectiveness of the BNT162b2 mRNA Vaccine in Israelイスラエルの大規模な医療提供組織に加入している 600,000 人近い人で,ワクチン接種後の SARS-CoV-2 感染,有症状の Covid-19,Covid-19 による入院,重症化,死亡の追跡が行われた.初回接種後 14~20 日目の死亡の予防におけるワクチンの有効性は 72%と推定され,2 回目の接種後 7 日以上経過した時点での入院は 87%減少した.これらの結果は無作為化試験で報告された結果と同様であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
アデノウイルスベースの Covid-19 ワクチン
2021 年 1 月 13 日
Adenovirus-Based Covid-19 Vaccineアデノウイルスを用いたワクチン(Ad26.COV2.S)の第 1・2a 相試験で,参加者が 2 つの年齢群に分けられ,低用量ワクチン,高用量ワクチン,プラセボのいずれかの投与を 1 回または 2 回受けた.ワクチンによって参加者の大部分で注射部位の局所反応が生じ,ワクチンを接種したすべての群で高力価の中和抗体が誘導された.さらに T 細胞応答が認められた.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 患者に対する受動免疫療法
2021 年 1 月 13 日
Passive Immunotherapy in Patients with Covid-193,000 例超の Covid-19 入院患者のうち,抗体価の高い回復者血漿を投与された患者は,抗体価の低い回復者血漿を投与された患者と比較して 30 日死亡率が低かった.抗体価の高い回復者血漿の効果は,人工呼吸管理を受けていなかった患者のサブグループでもっとも高かった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 の感染初期における回復者血漿
2021 年 1 月 6 日
Convalescent Plasma in Early Covid-19 InfectionCovid-19 を発症し,SARS-CoV-2 感染が確認されてから 3 日以内の高齢者に,抗体価の高い回復者血漿またはプラセボが投与された.Covid-19 が進行した割合は,回復者血漿が投与された患者では 16%であり,プラセボが投与された患者(31%)の約半分であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 予防のためのワクチン mRNA-1273
2020 年 12 月 30 日
mRNA-1273 Vaccine to Prevent Covid-19モデルナ社と米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が共同で製造した,SARS-CoV-2 スパイク蛋白をコードし,脂質ナノ粒子に内包された mRNA を用いたワクチン mRNA-1273 の 2 回の注射により,接種者の 94%で Covid-19 に対する防御効果が得られた.ワクチンの有害作用は軽度の一過性の局所反応であり,発熱,頭痛,疲労などの全身性有害作用の発現率は低かった.
ORIGINAL ARTICLE
-
医療施設のスタッフにおける抗体と SARS-CoV-2 感染
2020 年 12 月 23 日
Antibodies and SARS-CoV-2 Infection in Health Workers医療施設で無症状・有症状のスタッフが SARS-CoV-2 検査を受け,血清抗体陽性・陰性別に追跡された縦断的研究で,抗スパイク IgG 抗体または抗ヌクレオカプシド IgG 抗体の存在は,その後 6 ヵ月間の SARS-CoV-2 再感染リスクが大幅に低いことと関連した.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 入院患者に対する LY-CoV555
2020 年 12 月 22 日
LY-CoV555 in Hospitalized Patients with Covid-19Covid-19 入院患者を対象としたプラットフォーム試験において,レムデシビルによる治療を受けていた患者 314 例のうち,モノクローナル抗体 LY-CoV555 の投与を受けた患者は,プラセボ投与を受けた患者と比較して 5 日目の肺機能は良好ではなかった.試験は無益性のため中止された.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 肺炎に対するトシリズマブ
2020 年 12 月 17 日
Tocilizumab in Covid-19 Pneumonia無作為化試験で,Covid-19 肺炎で入院した患者(56.0%がヒスパニック系またはラテン系,14.9%が黒人,12.7%がアメリカインディアンまたはアラスカ先住民)にトシリズマブまたはプラセボが投与された.人工呼吸管理または死亡のリスクはトシリズマブ群で 12.0%,プラセボ群で 19.3%であった.トシリズマブにより生存は改善しなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
SARS-CoV-2 感染初期に対する抗体カクテル
2020 年 12 月 17 日
Antibody Cocktail in Early SARS-CoV-2 Infection抗 SARS-CoV-2 抗体カクテルが,PCR 検査による Covid-19 確認後 3 日以内の患者に投与された.ベースライン時に抗体陰性であった患者では,投与は迅速なウイルス排除と関連し,受診を必要とする頻度がより低いことと関連する可能性を示した.ベースライン時に抗体陽性であった患者では,効果はそれほど顕著ではなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
成人 Covid-19 患者に対するバリシチニブとレムデシビルの併用
2020 年 12 月 11 日
Baricitinib plus Remdesivir for Adults with Covid-19Covid-19 入院患者 1,033 例を対象とした試験で,バリシチニブとレムデシビルの併用は,レムデシビル単独と比較して,とくに高流量酸素投与を受けていた患者において回復期間が短いことと,15 日目の臨床状態改善のオッズが 30%高いことに関連した.有害事象の頻度は併用療法のほうが低かった.
ORIGINAL ARTICLE
-
mRNA ベースの SARS-CoV-2 ワクチンの安全性と有効性
2020 年 12 月 10 日
Safety and Efficacy of an RNA-Based SARS-CoV-2 VaccineSARS-CoV-2 スパイク蛋白をコードする RNA 分子を含有するワクチンを,3 週間隔で 2 回注射する試験が行われた.2 回目の注射後,中央値 2 ヵ月間の追跡期間中に,プラセボ接種を受けた 162 例とワクチン接種を受けた 8 例が Covid-19 を発症した.副作用は主に軽度~中等度の注射部位の疼痛と腫脹であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対する抗ウイルス薬の転用
2020 年 12 月 2 日
Repurposed Antiviral Drugs for Covid-19Covid-19 入院患者に対し,4 つの抗ウイルス薬,すなわちレムデシビル,ヒドロキシクロロキン,ロピナビル,インターフェロンβ-1a の転用を検討する WHO Solidarity 試験の中間結果が報告された.全死亡率,人工呼吸管理の開始,入院期間に対する効果が比較されている.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 予防のためのヒドロキシクロロキンの試験
2020 年 11 月 24 日
A Trial of Hydroxychloroquine to Prevent Covid-19スペインで行われた,PCR 法で確認された Covid-19 患者の無症状の接触者を対象とした試験で,ヒドロキシクロロキンの使用と通常診療との比較が行われた.ヒドロキシクロロキンによる曝露後治療は,陽性患者に曝露した健康な人の SARS-CoV-2 感染および症候性 Covid-19 を予防しなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対する回復期血漿
2020 年 11 月 24 日
Convalescent Plasma in Covid-19Covid-19 による重症肺炎を有する成人入院患者が,回復期血漿投与群とプラセボ投与群に 2:1 の割合で無作為に割り付けられた.30 日目の時点で臨床状態に 2 群間で有意差は認められなかった.全死亡率はプラセボ群 11.43%,回復期血漿群 10.96%であり,この差は統計学的に有意ではなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
航空母艦における SARS-CoV-2 の伝播
2020 年 11 月 11 日
SARS-CoV-2 Transmission on an Aircraft Carrier2020 年 3 月,セオドア・ルーズベルト号の乗組員 1 例が SARS-CoV-2 に感染していることが確認された.その後数週間で 1,271 例(乗組員の 27%)が検査で陽性と判定され,その大部分(77%)は臨床検査で診断された時点で症状がなかった.23 例が入院し,1 例が死亡した.
ORIGINAL ARTICLE
-
海兵隊員における SARS-CoV-2 の伝播
2020 年 11 月 11 日
SARS-CoV-2 Transmission among Marine Recruits米海兵隊の新兵が 2 週間の自宅隔離を行った.この期間の終了後,0.9%が重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に感染していることが確認された.2 回目の隔離は大学のキャンパスで監視下に 2 週間行われ,この期間中に新たに 1.9%が感染し,その大部分は無症状であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対する中和抗体療法
2020 年 10 月 28 日
Neutralizing-Antibody Therapy in Covid-19第 2 相試験で,中和抗体 LY-CoV555 の単回静注を 2,800 mg の用量で受けた Covid-19 外来患者では,プラセボ投与を受けた患者と比較して,ウイルス量がベースラインから大きく減少した.入院の頻度は抗体治療を受けた患者のほうが低かった(1.6% 対 6.3%).
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対するトシリズマブ
2020 年 10 月 21 日
Tocilizumab in Covid-19発熱,肺浸潤,酸素投与の必要性のうち,2 つ以上を有する Covid-19 患者を対象とした無作為化比較試験で,トシリズマブの有効性が検証された.トシリズマブの投与は,疾患進行,酸素投与の中止,死亡のいずれにも有意な効果はなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
RNA ベースの Covid-19 ワクチンの第 1 相試験
2020 年 10 月 14 日
Phase 1 Trial of an RNA-based Covid-19 Vaccine18~55 歳の成人と 65~85 歳の成人を対象に,脂質ナノ粒子で製剤化した,三量体 SARS-CoV-2 受容体結合ドメインをコードするヌクレオシド修飾 RNA ワクチンを 3 週間隔で 2 回接種したところ,高い抗原結合抗体とウイルス中和抗体価が誘導された.反応原性(副反応)は中等度であり,一過性であった.大規模試験が進行中である.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 患者に対するヒドロキシクロロキン
2020 年 10 月 8 日
Hydroxychloroquine in Patients with Covid-19英国で,Covid-19 で入院した成人患者 4,716 例のうち,ヒドロキシクロロキン投与を受けた患者の 28 日死亡率は,通常の診療を受けた患者と比較して低くなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対するレムデシビル ― 最終報告
2020 年 10 月 8 日
Remdesivir for Covid-19 — Final ReportCovid-19 で入院した成人 1,062 例を対象とした無作為化二重盲検試験で,レムデシビルは回復までの期間の短縮に関してプラセボよりも優れていた(10 日 対 15 日).29 日目までの死亡率の推定値は,レムデシビルで 11.4%,プラセボで 15.2%であった.レムデシビルの利益は,ベースライン時に低流量酸素吸入を受けていた患者でもっとも明らかであった.
ORIGINAL ARTICLE
-
より高齢の成人における Covid-19 に対する mRNA ワクチン
2020 年 9 月 29 日
mRNA Vaccine against Covid-19 in Older Adults55 歳以下の成人で Covid-19 ウイルスに特異的な抗体および T 細胞を誘導したモデルナ社の mRNA-1273 ワクチンは,より高齢の成人(71 歳以上の人も含む)の小規模集団においても,同様に高レベルの中和抗体応答と CD4 T 細胞応答を誘導した.
ORIGINAL ARTICLE
-
SARS-CoV-2 の組換えナノ粒子ワクチン
2020 年 9 月 2 日
SARS-CoV-2 Recombinant Nanoparticle Vaccine組換え SARS-CoV-2 スパイク蛋白ナノ粒子ワクチンを 0 日目と 21 日目に三角筋に投与したところ,5μg と 25μg の両用量で免疫原性が認められた.サポニンをベースとしたアジュバントとともに投与した場合,いずれの用量でも免疫原性は同等であり,副反応はほとんどあるいはまったくなく,誘導された中和抗体価は回復期血清中の中和抗体価よりも高かった.
ORIGINAL ARTICLE
-
SARS-CoV-2 に対する液性免疫応答の持続性
2020 年 9 月 1 日
Durable Humoral Response to SARS-CoV-2アイスランドの住民を対象とした大規模な研究で,感染後 4 ヵ月以内に液性免疫応答は低下しなかったこと,感染者の 44%は定量的 PCR による診断を受けていなかったこと,感染致死率は 0.3%であったことが明らかになった.
ORIGINAL ARTICLE
-
非ヒト霊長類における mRNA ベースの Covid-19 ワクチン
2020 年 7 月 28 日
mRNA–Based Covid-19 Vaccine in Nonhuman PrimatesSARS-CoV-2 スパイク蛋白をコードする mRNA ベースのワクチンをアカゲザルに 2 回注射したところ,高い中和抗体と Th1 CD4 T 細胞応答が誘導された.ワクチンを接種したアカゲザルの鼻腔内と気管内にウイルスを曝露させた 2 日後,気管支肺胞洗浄液中と鼻汁中にウイルス複製は検出されなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対するヒドロキシクロロキンの単独投与とアジスロマイシンとの併用との比較
2020 年 7 月 23 日
Hydroxychloroquine with or without Azithromycin in Covid-19Covid-19 が確認されたか疑われる患者を,ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用,ヒドロキシクロロキン単独投与,通常の治療のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は 15 日の時点での臨床状態とし,7 段階の順序尺度で評価した.主要転帰に群間で有意差は認められなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 患者に対するデキサメタゾン治療
2020 年 7 月 17 日
Dexamethasone Treatment in Covid-19Covid-19 で入院した患者にデキサメタゾンによる治療を行ったところ,患者が受けていた呼吸補助のレベルが高いほど,通常治療よりも 28 日死亡率が低くなった.これはデキサメタゾンの有効性と感染の段階とのあいだに相関がある可能性を示している.
ORIGINAL ARTICLE
-
SARS-CoV-2 ワクチン候補の免疫原性
2020 年 7 月 14 日
Immunogenicity of a Candidate SARS-CoV-2 VaccineSARS-CoV-2 の mRNA をベースとした,同ウイルスのスパイク蛋白をコードする新しいワクチンを健康な成人ボランティアに 2 回接種したところ,高力価のウイルス中和抗体が誘導された.ウイルス特異的 T 細胞応答も誘導された.暫定的な知見として,1 回の注射あたりの用量は 100μg で免疫応答を最大化し,ワクチンの副反応を最小化することが示された.
ORIGINAL ARTICLE
-
小児多臓器炎症症候群
2020 年 6 月 29 日
Multisystem Inflammatory Syndrome in Children小児多臓器炎症症候群は Covid-19 との関連が認められている.ニューヨーク州からの報告で,ニューヨーク州保健局によるこの症候群の定義を満たした患児 99 例の記述的分析により,臨床像,合併症,転帰が要約されている.
ORIGINAL ARTICLE
-
米国の小児における多臓器炎症症候群
2020 年 6 月 29 日
Multisystem Inflammatory Syndrome in U.S.Children多臓器炎症症候群を発症した,米国 26 州の 21 歳未満の患児の疫学と臨床経過について報告する.多くの患児は,症候群発症の少なくとも 1~2 週間前に SARS-CoV-2 に感染した.年齢の中央値は 8.3 歳で,73%は生来健康であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に関する迅速なゲノムワイド関連解析
2020 年 6 月 17 日
Nimble GWAS on Covid-193 月,イタリアとスペインで重症 Covid-19 患者の入院件数がピークを迎えているときに,この 2 国およびその他の国の研究者から成るグループが検体の採取・解析を行い,重症 Covid-19 に関連する 2 つの染色体座位を同定した.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 予防薬としてのヒドロキシクロロキン
2020 年 6 月 3 日
Hydroxychloroquine for Covid-19 Prophylaxisこの二重盲検無作為化試験では,SARS-CoV-2 に高リスク曝露または中リスク曝露した無症状の 821 例が,曝露後 4 日以内にヒドロキシクロロキン投与を受ける群とプラセボ投与を受ける群に割り付けられた.Covid-19 に一致する疾患の予防における利益は認められなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対するレムデシビルの 5 日間投与と 10 日間投与との比較
2020 年 5 月 27 日
Remdesivir for 5 Days or 10 Days in Covid-19Covid-19 により肺炎と低酸素血症をきたしているが,人工呼吸管理にはいたっていない患者を対象としてレムデシビルの静脈内投与 5 日間コースと 10 日間コースとを比較した無作為化試験で,投与期間と転帰との関連に有意差を認めなかった.
SPECIAL ARTICLE
-
Covid-19 の黒人患者と白人患者
2020 年 5 月 27 日
Black Patients and White Patients with Covid-19後ろ向きコホート研究で,ルイジアナ州の医療システムのデータが解析された.その加入者集団は 31%が非ヒスパニック系黒人である.Covid-19 で入院した患者の 76.9%,Covid-19 で死亡した患者の 70.6%が黒人であった.患者のベースライン特性で補正すると,黒人であることは院内死亡率がより高いこととは関連しなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 に対するレムデシビル ― 予備的報告
2020 年 5 月 22 日
Remdesivir for Covid-19 — Preliminary ReportCovid-19 で入院した成人 1,063 例を対象とした無作為化二重盲検試験で,10 日間のレムデシビルの静脈内投与は,回復までの期間の短縮に関してプラセボよりも優れていた.14 日までの死亡率の推定値はレムデシビル群で 7.1%,プラセボ群で 11.9%であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
血管新生と Covid-19
2020 年 5 月 21 日
Angiogenesis and Covid-19Covid-19 で死亡した患者 7 例の剖検肺には,インフルエンザで死亡した患者の肺やドナーから提供されたが移植されなかった非感染肺と比較して,大量の重積血管新生(intussusceptive angiogenesis)が認められた.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 患者におけるヒドロキシクロロキンの観察研究
2020 年 5 月 7 日
Observational Study of Hydroxychloroquine in Covid-19ニューヨーク市のある病院に入院した Covid-19 患者 1,376 例のうち,59%がヒドロキシクロロキンの投与を受けた.投与が選択された患者はより重症であった.患者のベースライン特性で補正後,ヒドロキシクロロキンの使用と挿管または死亡とのあいだに有意な関連は認められなかった(ハザード比 1.04,95%信頼区間 0.82~1.32).
ORIGINAL ARTICLE
-
RAAS 阻害薬と Covid-19 のリスク
2020 年 5 月 1 日
RAAS Inhibitors and Risk of Covid-19レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬を服用している患者は Covid-19 のリスクが高いという懸念があり,それはアンジオテンシン変換酵素 2 がこのウイルスの受容体であるためである.この研究は,降圧薬の一般的な 5 つのクラスのいずれかを服用している患者で,Covid-19 の検査で陽性となる確率や重症化する確率は上昇しないことを示した.
ORIGINAL ARTICLE
-
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系拮抗薬と Covid-19
2020 年 5 月 1 日
Renin–Angiotensin–Aldosterone System Blockers and Covid-19イタリア北部で行われた住民ベースの症例対照研究で,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の使用は Covid-19 患者ではより多いことを示した.これは心血管疾患の有病率がより高いためであった.しかし,ACE 阻害薬と ARB が Covid-19 リスクに影響を及ぼすというエビデンスは認められなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19,心血管疾患,薬物療法
2020 年 5 月 1 日
Covid-19, Cardiovascular Disease, and Drug TherapyCovid-19 と診断され入院した患者 8,910 例のデータが解析された.心血管疾患は院内死亡リスクの上昇と関連した.アンジオテンシン変換酵素阻害薬の使用,アンジオテンシン受容体拮抗薬の使用は,いずれも院内死亡リスクの上昇とは関連しなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
高度看護施設における症状発現前の SARS-CoV-2 感染
2020 年 4 月 24 日
Presymptomatic SARS-CoV-2 in a Nursing Facility著者らは 1 高度看護施設における SARS-CoV-2 の伝播状況を調査し,症状に基づくスクリーニングの妥当性を評価した.検査で陽性であった入居者の半数以上は検査の時点で無症状であった.症状のある入居者に限定した感染制御対策は,伝播を防ぐには十分ではなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
アイスランドにおける SARS-CoV-2
2020 年 4 月 14 日
SARS-CoV-2 in Icelandアイスランドでは,SARS-CoV-2 のウイルス検査,接触者追跡調査,社会的距離確保(ソーシャルディスタンシング)対策を適時に実施したものの,感染が拡大している.しかし 2020 年 3 月 13 日~4 月 4 日の期間には,感染者の割合に増加はみられなかった.
ORIGINAL ARTICLE
-
重症 Covid-19 に対する未承認薬レムデシビルの人道的使用
2020 年 4 月 10 日
Compassionate-Use Remdesivir for Severe Covid-19重症 Covid-19 の患者群が,未承認薬の人道的使用(コンパッショネートユース)プロトコルに基づいてレムデシビルの投与を受けた.酸素療法の状況の改善が 68%で認められ,追跡期間中央値 18 日の時点で,全死亡率は 13%であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
Covid-19 ― シアトルの ICU における初期の経験
2020 年 3 月 30 日
Covid-19 — Early ICU Experience, Seattle臨床医らと研究者らが,シアトル地域にある 9 ヵ所の病院の ICU に入室した最初の 24 例について報告している.臨床症状,治療,転帰の,鍵となる側面が述べられている.
ORIGINAL ARTICLE
-
1 長期療養施設における Covid-19 集団発生
2020 年 3 月 27 日
Covid-19 Outbreak at a Long-Term Care Facility2020 年 2 月 28 日,シアトル地域の公衆衛生当局は,長期療養施設で Covid-19 感染が 1 件発生したという報告を受けた.調査により,その施設に関連する感染者が,入居者,ヘルスケア従事者,訪問者合わせて 167 例同定された.入居者 101 例のうち,1/3 以上で死亡が確認された.
ORIGINAL ARTICLE
-
重症 Covid-19 に対するロピナビル・リトナビル経口投与
2020 年 3 月 18 日
Oral Lopinavir–Ritonavir for Severe Covid-19中国の研究者らが,SARS-CoV-2 に感染した成人の Covid-19 患者 199 例の治療を目的に行ったロピナビル・リトナビル投与の非盲検無作為化臨床試験の結果を報告している.主要エンドポイントは臨床的改善までの期間であった.
ORIGINAL ARTICLE
-
中国における Covid-19 の特徴
2020 年 2 月 28 日
Characteristics of Covid-19 in Chinaこの研究では,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の今回の集団発生の最初の 2 ヵ月間に,中国全土で検査により確認された患者集団から抽出した 1,099 例における,Covid-19 の臨床的特徴を報告する.
ORIGINAL ARTICLE
-
2019-nCoV の初期の感染の動態
2020 年 1 月 29 日
Early Transmission Dynamics of 2019-nCoV著者らは,中国の武漢市において新型コロナウイルスに感染したことが確認された最初の 425 症例を疫学的に解析する.この解析では疫学的な倍加時間と基本再生産数を推計し,持続的なヒト–ヒト感染の明らかな証拠を提示している.