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April 16, 1998 Vol. 338 No. 16

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スクリーニングマンモグラムと臨床的乳房検査での偽陽性の 10 年リスク
TEN-YEAR RISK OF FALSE POSITIVE SCREENING MAMMOGRAMS AND CLINICAL BREAST EXAMINATIONS

J.G. ELMORE AND OTHERS

背景

乳癌スクリーニング検査の偽陽性結果の累積リスクはわかっていない.

方 法

研究登録時 40~69 歳の女性 2,400 人において,乳癌スクリーニングと診断的評価に関する 10 年間のレトロスペクティブコホート研究を行った.翌 1 年間に乳癌と診断されなかった女性における,「未確定」「癌が疑われる」「速やかな精査が推奨される」と解釈されたマンモグラムまたは臨床的乳房検査の結果を,偽陽性とみなした.

結 果

スクリーニングマンモグラム 9,762 件,スクリーニング臨床的乳房検査 10,905 件が実施され,10 年間の女性 1 人当りの検査回数の中央値は,マンモグラム 4 回,臨床乳房検査 5 回であった.スクリーニングを受けた女性のうち,23.8%が少なくとも 1 回はマンモグラム偽陽性,13.4%が少なくとも 1 回は乳房検査偽陽性,31.7%がいずれかの検査が少なくとも 1 回偽陽性であった.偽陽性結果の推定累積リスクは,マンモグラム 10 回後 49.1%(95%信頼区間,40.3~64.1%),臨床的乳房検査 10 回後 22.3%(95%信頼区間,19.2~27.5%)であった.偽陽性により,外来診療予約 870 件,診断的マンモグラム 539 件,超音波検査 186 件,生検 188 件,入院 1 件が発生した.乳癌を有しない女性のうち,18.6%(95%信頼区間,9.8~41.2%)がマンモグラム 10 回後に生検を受け,6.2%(95%信頼区間,3.7~11.2%)が臨床乳房検査 10 回後に生検を受けると推定される.スクリーニングに 100 ドル支払うごとに,偽陽性結果の評価のためにさらに 33 ドルが支払われた.

結 論

10 年のあいだに,スクリーニングを受けた女性の 3 分の 1 は,乳癌が存在しないにもかかわらず検査で異常が示され,追加の検査を必要とした.高い感度を維持しながら,偽陽性を減らすための技術が必要である.医師は,乳癌のスクリーニング検査における偽陽性のリスクについて女性を教育すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1089 - 96. )