April 16, 1998 Vol. 338 No. 16
人工呼吸器依存未熟児における二つのデキサメタゾン療法の多施設臨床試験
A MULTICENTER TRIAL OF TWO DEXAMETHASONE REGIMENS IN VENTILATOR-DEPENDENT PREMATURE INFANTS
L.-A. PAPILE AND OTHERS
人工呼吸器依存未熟児は,デキサメタゾンで治療されることが多い.しかし,治療の最適な時期はわかっていない.
生後 2 週の時点で呼吸指数スコア(平均気道圧×吸気酸素分画)が 2.4 以上である人工呼吸器依存超低体重児(501~1,500 g)371 人において,デキサメタゾン療法を生後 2 週で開始する場合と生後 4 週で開始する場合の利益とリスクを比較した.182 人にデキサメタゾンを 2 週間投与してその後プラセボを 2 週間投与し,189 人にはプラセボを 2 週間投与してその後デキサメタゾン(治療 14 日目の呼吸指数スコア≧2.4 の場合),またはさらにプラセボを 2 週間投与した.デキサメタゾンは 0.25 mg/kg 体重の用量を 1 日 2 回 5 日間静脈内または経口投与し,用量をその後漸減した.
人工呼吸器依存までの時間の中央値は,デキサメタゾン-プラセボ群で 36 日,プラセボ-デキサメタゾン群では 37 日であった.慢性肺疾患 (受胎後週数 36 週での酸素補給の必要性として定義) の発生率はそれぞれ,66%と 67%であった.デキサメタゾンは,デキサメタゾン-プラセボ群では院内菌血症の発生率増加(相対危険度,1.5;95%信頼区間,1.1~2.1)と,高血糖の発生率増加(相対危険度,1.9;95%信頼区間,1.2~3.0)に関連し,プラセボ-デキサメタゾン群では血圧上昇(相対危険度,2.9;95%信頼区間,1.2~6.9)に関連し,両群において体重増加と頭部発育の減少(p<0.001)に関連した.
人工呼吸器依存未熟児の生後 2 週でのデキサメタゾンによる治療は,生後 4 週での治療より危険で,有用でない.