April 30, 1998 Vol. 338 No. 18
米国におけるミフェプリストンとミソプロストールによる早期妊娠中絶
EARLY PREGNANCY TERMINATION WITH MIFEPRISTONE AND MISOPROSTOL IN THE UNITED STATES
I.M. SPITZ AND OTHERS
ミフェプリストンとプロスタグランジンは,ヨーロッパと中国で妊娠中絶に用いられて,好成績を収めている.われわれは,妊娠 9 週までの女性におけるミフェプリストンとミソプロストールの米国での大規模試験の結果を報告する.
17 の施設で,妊娠中絶を希望する女性 2,121 人に,ミフェプリストン 600 mg を投与してその 2 日後にミソプロストール 400 μg を投与した.ミソプロストールの投与後 4 時間患者を観察し,15 日目に最終評価のため再来させた.
女性 2,015 人が最終評価を終了した.その中で,妊娠 49 日以内の女性では 827人中 762 人(92%)に流産が起り,妊娠 50~56 日の女性では 678 人中 563 人(83%),妊娠 57~63 日の女性では 510 人中 395 人(77%)(p<0.001)に流産が起った.女性の 49%では,ミソプロストール投与後 4 時間以内に流産が起り,75%では 24 時間以内に起った.医学的理由,または患者の要請,中絶が不完全,もしくは妊娠が進行中であったために,外科的介入を必要とする症例として定義する中絶の失敗は,妊娠期間が長くなるにつれて増加した.もっとも大きく増加したのは妊娠の継続による失敗で,49 日以内群での 1%から,57~63 日群では 9%へと増加した(p<0.001).腹痛,吐き気,嘔吐,下痢,性器出血もまた,妊娠齢の進行に伴って増加した.入院し,外科的介入,輸液の投与を受けた割合は,49 日以内群では 2%であったのに対し,他の 2 群ではそれぞれ 4%であった(p=0.008).
このミフェプリストン–ミソプロストール療法は,とくに妊娠 49 週以内の女性では妊娠中絶に有効である.