The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 4, 1998 Vol. 338 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

抗結核薬耐性に関する 1994~97 年の世界的調査
GLOBAL SURVEILLANCE FOR ANTITUBERCULOSIS-DRUG RESISTANCE, 1994–1997

A. PABLOS-MÉNDEZ AND OTHERS

背景

薬剤耐性結核は疾患のコントロールがきわめて困難である.本報告書は,1994~97 年の世界保健機構–抗結核薬耐性調査に関する結核・肺疾患国際的連合世界プロジェクトに参加した 35 ヵ国における,4 種類の第一選択薬に対する耐性の発生について記述する.

方 法

データは横断的調査およびサーベイランス報告書に由来する.参加国は,代表的なサンプルの使用,正確な治療の過程,標準実験法,および共通の定義が確実に行われるためのガイドラインを遵守した.委託研究所ネットワークが試験の品質保証を行った.各国または地域で調査した患者数の中央値は 555 人(範囲,59~14,344人)であった.

結 果

治療歴のない患者において,ヒト結核菌株の中央値で 9.9%(範囲,2~41%)が,1 つ以上の薬剤に対して耐性であり,イソニアジド耐性(7.3%)とストレプトマイシン耐性(6.5%)は,リファンピン耐性(1.8%),エタンブトール耐性(1.0%)よりも頻度が高かった.初回多剤耐性の保有率は 1.4%(範囲,0~14.4%)であった.治療経験が 1 ヵ月未満の患者では,四つの薬剤いずれかに対する耐性の保有率は 36.0%(範囲,5.3~100%)であり,多剤耐性の保有率は 13%(範囲,0~54%)であった.全体的な保有率は,1 剤に対する耐性が 12.6%(範囲,2.3~42.4%),多剤耐性が 2.2%(範囲,0~22.1%)であった.旧ソ連邦,アジア,ドミニカ共和国,およびアルゼンチンでは,多剤耐性のとくに高い保有率を認めた.

結 論

抗結核薬に対する耐性は,調査した 35 の国と地域すべてに認められ,これが世界的な問題であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1641 - 9. )