ニューヨーク市のホームレスに関連した入院費用
HOSPITALIZATION COSTS ASSOCIATED WITH HOMELESSNESS IN NEW YORK CITY
S.A. SALIT AND OTHERS
ホームレスは,健康問題および高医療費の原因であると考えられているが,この関連を裏付けるデータを得ることはむずかしい.われわれは,ニューヨーク市のホームレスの人々と他の低所得者の入院日数および理由を比較して,ホームレスに関連した入院費用を推定した.
1992~93 年に発生した,ニューヨーク市の公立総合病院へのホームレス成人の入院 18,864 例(出産のための入院を除く)と,ニューヨーク市のすべての総合病院への低所得成人の非出産入院 383,986 例の退院データを得た.入院日数の差は,診断関連群,主診断,特定の併存疾患,人口統計学的特性を補正した.
ホームレスの人々の入院のうち,51.5%が薬物乱用または精神疾患の治療のためであったのに対し,他の低所得者では 22.8%であった.ホームレスの人々の入院のうち,残りの 19.7%は外傷,呼吸器疾患,皮膚疾患,感染症(後天性免疫不全症候群 [AIDS] を除く)のためで,その多くはおそらく予防可能な医学的疾患であった.ホームレスの人々に関しては,入院の 80.6%に物質乱用もしくは精神疾患の主診断または副診断が含まれ,これは他の患者の割合の約 2 倍であった.入院 1 回あたりの入院日数は,物質乱用および精神疾患の割合の差や,他の臨床的特性,人口統計学的特性を補正しても,ホームレスの患者は他の患者よりも平均で 4.1 日,割合としては 36%長かった.1 退院あたりの追加日数の費用は,精神疾患患者で 4,094 ドル,AIDS 患者で 3,370 ドル,すべてのタイプの患者で 2,414 ドルであった.
ホームレスは,ニューヨーク市の入院 1 回あたりの大幅な超過費用と関連している.ホームレスの人々に対する住まい提供および支援サービスへの資金援助の決定は,そうしたサービスがこの集団の高額な入院費用を減少させる可能性を考慮に入れて行うべきである.