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January 29, 1998 Vol. 338 No. 5

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慢性 C 型肝炎患者における A 型肝炎ウイルス重複感染に関連した劇症肝炎
FULMINANT HEPATITIS ASSOCIATED WITH HEPATITIS A VIRUS SUPERINFECTION IN PATIENTS WITH CHRONIC HEPATITIS C

S. VENTO AND OTHERS

背景

A 型肝炎ウイルス(HAV)感染が,肝臓の基礎疾患を有しない人々に劇症肝不全を引き起すことはほとんどない.慢性 B 型肝炎および慢性 C 型肝炎患者におけるこの感染の経過に関するデータは限られている.

方 法

われわれは,1990 年 6 月から 1997 年 7 月までのあいだに,HAV 抗体が血清陰性で,慢性 B 型肝炎(患者 163 人)または慢性 C 型肝炎(432 人)の生化学および組織学的証拠を有する成人 595 人をプロスペクティブに追跡した.4 ヵ月ごとに全員の HAV に対する血清 IgM および IgG 抗体を検査した.

結 果

患者 27 人が HAV 重複感染を示し,そのうち 10 人が慢性 B 型肝炎,そして 17 人が慢性 C 型肝炎であった.慢性 B 型肝炎の患者の 1 人は,肝硬変も起しており,著しい胆汁うっ滞を示した(ビリルビンの最高血清濃度,28 mg/dL [479 μmol/L]); 他の 9 人は合併症を伴わない A 型肝炎の経過を示した.劇症肝不全は慢性 C 型肝炎患者の 7人に発症し,1 人を除く全員が死亡した.慢性 C 型肝炎のその他の 10 人は,合併症を伴わない A 型肝炎の経過を示した.

結 論

後天的に HAV に感染したほとんどの慢性 B 型肝炎患者は合併症を伴わない経過をたどるが,慢性 C 型肝炎患者は,HAV 重複感染に関連した劇症肝炎および死亡の実質的なリスクを有した.われわれのデータは,慢性 C 型肝炎患者は A 型肝炎ワクチンを接種すべきであることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 286 - 90. )