February 26, 1998 Vol. 338 No. 9
成人の肺機能に及ぼす幼少期の肺炎および百日咳の影響
EFFECT OF PNEUMONIA AND WHOOPING COUGH IN CHILDHOOD ON ADULT LUNG FUNCTION
I.D.A. JOHNSTON, D.P. STRACHAN, AND H.R. ANDERSON
これまでの研究から,幼少期の呼吸器感染が成人期の呼吸器疾患に関連することが示唆されてきたが,幼少期の感染のレトロスペクティブな確認,選択バイアス,交絡因子のために,その関連は明確でない.
1958 年の誕生時から追跡した英国の成人 1,392 人において,幼少期の肺炎および百日咳の影響を調べた.これらの中で,193 人が肺炎の既往を有し,215 人が 7 歳までに百日咳の既往を有した.被験者が 34 歳または 35 歳の時,1 秒量(FEV1)および努力肺活量(FVC)をアルブテロールの吸入前後に測定した.
肺炎の既往は,性別,身長,喫煙で補正後,FEV1(102±73 mL,p=0.006)および FVC(173±70 mL,p=0.001)の双方の低下 (±95%信頼限界) と関連し,FEV1/FVC には変化はみられなかった.これらの低下は,アルブテロールの吸入後も持続した.喘鳴の既往を有しない被験者では,FEV1 の低下は 155±122 mL(p=0.01),過去に喘鳴のあった被験者では 41±128 mL(p=0.53),現在喘鳴がある被験者では 119±133 mL(p=0.08)であった.この影響は,2 歳までに肺炎を起した被験者のほうが 2~7 歳のあいだに肺炎を起した被験者よりも大きいということはなく,多数の交絡因子で調整後も減少しなかった.百日咳に関連した低下はより小さかった(FEV1,41±70 mL;p=0.25;FVC,81±76 mL;p=0.04).
幼少期の肺炎は成人期の呼吸機能の低下に関連する.この減少は喘鳴の既往とは無関係で,その他の交絡因子では説明されない.