結核菌強毒株の広範な伝播を伴う大流行
AN OUTBREAK INVOLVING EXTENSIVE TRANSMISSION OF A VIRULENT STRAIN OF MYCOBACTERIUM TUBERCULOSIS
S.E. VALWAY AND OTHERS
1994~96 年のあいだに,小さな田舎の結核のリスクが低い集団のコミュニティで結核の大発生が起った.結核患者 21 人(15 人は培養陽性)を確認した;試験用に入手可能な 13 の単離株の DNA フィンガープリントは同一であった.
伝播の程度を調べるため,患者の身近な接触者と偶然の接触者の双方を調べた.マウスモデルを用いて,大流行を引き起した結核菌の株の毒力についても調べた.
1995 年に結核と診断された指標患者; 1994 年に結核と診断された発生源患者;そして 1996 年に結核と診断されて他の 18 人に感染させた患者.5 人では,ほんの短い偶然の曝露後に活動型疾患が発症した.患者 3 人から身近な接触者と偶然の接触者の双方への広範な伝播が起った.接触者 429 人中,311 人(72%)が皮膚試験陽性で,この中には皮膚試験の陽転が報告された 86 人が含まれた.結核菌の Erdman 強毒株に感染したマウスは,10 日後に肺の菌数が約 1,000 個,そして 20 日後には菌数が約 10,000 個であった.対照的に,大流行に関与した菌株に感染させたマウスは,肺の菌数が 10 日後で約 10,000 個,そして 20 日後には肺の菌数が約 1,000 万個であった.
この結核の大流行では,関与した菌株の増殖特徴は,結核菌の他の臨床単離菌の増殖をはるかに超えていた.結核の広範な伝播は,環境要因または患者の特徴より,むしろ菌株の毒力の増加によるものであった可能性がある.