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日本語アブストラクト

March 19, 1998 Vol. 338 No. 12

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人工換気を要する患者の上部消化管出血予防に用いるスクラルファートとラニチジンとの比較
A COMPARISON OF SUCRALFATE AND RANITIDINE FOR THE PREVENTION OF UPPER GI BLEEDING IN PATIENTS REQUIRING MECHANICAL VENTILATION

D. COOK AND OTHERS

背景

人工換気を要する危篤患者は,ストレス性潰瘍による消化管出血のリスクが増大している.ヒスタミン H2 受容体拮抗薬と細胞保護薬スクラルファートが,消化管出血,人工呼吸器関連肺炎,死亡の発生率に及ぼす効果に関しては,データが相反している.

方 法

多施設共同無作為化盲検プラセボ対照試験において,人工換気を要する患者 1,200 人の上部消化管出血の予防に用いる薬剤として,スクラルファートと,H2 受容体拮抗薬であるラニチジンとを比較した.スクラルファート懸濁液の経鼻胃管投与(1 g を 6 時間ごと)とプラセボの静注,またはラニチジンの静注(50 mg を 8 時間ごと)とプラセボの経鼻胃管投与を患者に行った.

結 果

2 群の患者は同様のベースライン特徴を有した.臨床的に重要な消化管出血は,ラニチジンの投与を受けた 596 人のうち 10 人(1.7%)に起ったのに対し,スクラルファートの投与を受けた 604 人では 23 人(3.8%)に起った(相対リスク,0.44;95%信頼区間,0.21~0.92;p = 0.02).人工呼吸器関連肺炎を起したのは,ラニチジン群では 596 人中 114 人(19.1%)であったのに対し,スクラルファート群では 604 人中 98 人(16.2%)であった(相対リスク,1.18;95%信頼区間,0.92~1.51;p = 0.19).集中治療室(ICU)死亡率に群間で有意差は認められず(ラニチジン群 23.5%,スクラルファート群 22.8%),ICU 入室期間にも有意差は認められなかった(中央値,両群 9 日).

結 論

人工換気を要する危篤患者のうち,ラニチジンの投与を受けた患者は,スクラルファートの投与を受けた患者よりも臨床的に重要な消化管出血の発生率が有意に低かった.人工呼吸器関連肺炎の発生率,ICU 入室期間,死亡率に有意差は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 791 - 7. )