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October 8, 1998 Vol. 339 No. 15

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転移性前立腺癌に対するフルタミドを併用した,または併用しない両側睾丸摘出術
BILATERAL ORCHIECTOMY WITH OR WITHOUT FLUTAMIDE FOR METASTATIC PROSTATE CANCER

M.A. EISENBERGER AND OTHERS

背景

転移性前立腺癌の治療に対する複合アンドロゲン遮断は,抗アンドロゲン薬+性腺摘出から成る.先の臨床試験において,抗アンドロゲン薬であるフルタミドを酢酸リュープロリド(睾丸機能の内科的アブレーションを起す合成ゴナドトロピン放出ホルモン)に加えると,プラセボ+酢酸リュープロリドによって得られる場合と比較して生存率を有意に改善することを発見した.今回の臨床試験では,フルタミド+両側睾丸摘出をプラセボ+睾丸摘出と比較した.

方 法

抗アンドロゲン療法を受けたことがなく,前立腺腺癌からの遠隔転移を有する患者を,両側睾丸摘出術とフルタミドまたはプラセボのいずれかを併用する治療に無作為割付けした.疾患の程度および PS にしたがって患者を分類した.

結 果

臨床試験に登録した患者 1,387 人中 700 人をフルタミド群に,687 人をプラセボ群に無作為割付けした.全体として,有害作用の発生率は少なかった;群間の唯一の顕著な差は,フルタミド群のほうが,下痢と貧血の発現率がより高かったことであった.全体的な生存率では,2 群のあいだに有意差を認めなかった(p=0.14).プラセボと比較したフルタミドの推定死亡リスク(ハザード比)は,0.91(90%信頼区間,0.81~1.01)であった.フルタミドは,腫瘍が最小の患者においても利益の増強とは関連しなかった.

結 論

転移性前立腺癌を有する患者では,両側睾丸摘出にフルタミドを加えても,臨床的に意味のある生存率の改善は得られない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1036 - 42. )