November 5, 1998 Vol. 339 No. 19
血液透析で治療する末期腎疾患患者における血圧の季節的変動
SEASONAL CHANGES IN BLOOD PRESSURE IN PATIENTS WITH END-STAGE RENAL DISEASE TREATED WITH HEMODIALYSIS
À. ARGIÉS, G. MOURAD, AND C. MION
多くの要因が血圧の調節に関与している.気候の役割については,比較的関心が低かった.
血液透析で治療している末期腎疾患患者 53 人の血圧に及ぼす気候の影響を 4年間調べた.各患者について,週 3 回の各透析治療の前に平均 31 ヵ月間血圧を測定した.透析用量(尿素クリアランス×透析期間を尿素の分布容積で除したもの)および蛋白異化率を毎月評価した.次に,血圧,脈拍,および体重の毎月の平均値を,フランス,モンペリエで記録した毎月の気温,相対湿度,および大気圧の値と関連させて分析した.
毎月の最高気温は冬季の 10℃から夏季の 31℃まで変動し,毎月の最低気温は 1~20℃まで変動した.収縮期および拡張期の平均(±SE)血圧は,冬季で最高(153±3/82±2 mmHg)で,夏季で最低(141±3/75±2 mmHg)であった.季節パターンは 4 年間を通じて明白であった.血圧は毎月の最高気温と反比例し(収縮期血圧に関しては r=-0.65 で,p<0.001;拡張期血圧に関しては r=- 0.71 で p<0.001),最小湿度と正比例した(収縮期血圧に関しては r=0.45 で,p=0.002;拡張期血圧に関しては r=0.43 で p=0.003).蛋白異化率の変化,透析と透析のあいだの体重増加,および透析用量は血圧の変化に関連しなかった.
血液透析で治療する末期腎疾患患者では,血圧は季節的に変動し,冬では値が高く,夏では低い.