December 31, 1998 Vol. 339 No. 27
高血圧患者集団における血圧の不適切な管理
INADEQUATE MANAGEMENT OF BLOOD PRESSURE IN A HYPERTENSIVE POPULATION
D.R. BERLOWITZ AND OTHERS
高血圧患者の多くは,血圧が適切にコントロールされていない.高血圧治療の改善には,医師がこの疾患の管理法を理解することと,この治療の有効性を評価する手段が必要である.
ニューイングランド地方の五つの在郷軍人局施設において,高血圧の男性 800 人の診療を 2 年間調査した.平均(±SD)年齢は 65.5±9.1 歳で,高血圧の罹病期間は平均で 12.6±5.3 年であった.再帰分割を用いて,特定の受診時に降圧治療がふやされる確率を,複数の変数を用いて評価した.次に,これらの予測を用いて,試験期間中の各患者に対する治療強度を定義し,この治療強度と血圧のコントロール度との相関を調べた.
患者の約 40%は,高血圧関連の受診回数が平均で年 6 回以上であったにもかかわらず,血圧が 160/90 mmHg 以上であった.治療の増加は受診の 6.7%で発生した.降圧治療の増加に関連する特徴は,その受診時(前回の受診時ではなく)における収縮期血圧と拡張期血圧の双方の上昇,前回治療を変更していること,冠動脈疾患の存在,および予定受診であった.より強力な療法を受けた患者は,血圧コントロールが有意により良好であった(p<0.01).2 年間で,収縮期血圧は治療強度がもっとも高かった患者で 6.3 mmHg 低下したが,治療強度がもっとも低かった患者では 4.8 mmHg 上昇した.
高齢男性の特定集団において,多数が血圧のコントロールが不良であった.より強力な医療を受けている患者はコントロールがより良好であった.多くの医師は,高血圧に対するアプローチの積極性が十分でない.