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August 13, 1998 Vol. 339 No. 7

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経口避妊薬と遺伝性卵巣癌のリスク
ORAL CONTRACEPTIVES AND THE RISK OF HEREDITARY OVARIAN CANCER

S.A. NAROD AND OTHERS

背景

BRCA1 または BRCA2 遺伝子のいずれかに変異を有する女性は,卵巣癌の生涯リスクが高い.経口避妊薬は一般に卵巣癌を防ぐが,それらが,遺伝型卵巣癌に対しても同様に作用するか否かはわかっていない.

方 法

ケースコントロール試験において,遺伝型卵巣癌の女性 207 人およびその姉妹 161 人を対照として登録した.患者全員が,BRCA1(女性 179 人)または BRCA2(28人)のいずれかに病原性変異を有していた.対照女性は,変異の有無にかかわらず登録した.経口避妊薬の生涯使用歴を問診または書面での質問書から得て,出産年および出産歴について補正したあとで,患者と対照女性間での比較を行った.

結 果

経口避妊薬を過去に使用したことがある場合の卵巣癌の補正オッズ比は 0.5 であった(95%信頼区間,0.3~0.8).使用期間の増加とともにリスクは低下した(傾向に関する p<0.001);6 年以上の使用ではリスクは 60%低下した.経口避妊薬の使用により,BRCA1 変異の保有者(オッズ比,0.5;95%信頼区間,0.3~0.9)および BRCA2 変異の保有者(オッズ比,0.4;95%信頼区間,0.2~1.1)の双方が,卵巣癌から防護された.

結 論

経口避妊薬の使用により,BRCA1 または BRCA2 遺伝子の病原性変異を有する女性の卵巣癌のリスクが低下する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 424 - 8. )