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August 20, 1998 Vol. 339 No. 8

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結腸直腸癌の多発家系における遺伝子検査の必要性に関する臨床所見
CLINICAL FINDINGS WITH IMPLICATIONS FOR GENETIC TESTING IN FAMILIES WITH CLUSTERING OF COLORECTAL CANCER

J.T. WIJNEN AND OTHERS

背景

DNA ミスマッチ修復遺伝子における生殖系列変異(MSH2MLH1PMS1PMS2,および MSH6)は,遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌に対する易罹患性を生じる.われわれは,遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌を有することが疑われる家系における MSH2 および MLH1 変異の発生率を評定し,臨床所見が遺伝子検査の転帰を予測することができるか否かを評価した.

方 法

変性勾配ゲル電気泳動を用いて,結腸直腸癌または遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌に関連するその他の癌が家族性多発を示す 184 の家系において,MSH2 および MLH1 変異を特定した.癌の部位,診断時の年齢,および罹患家族数に関する情報をすべての家族から得た.

結 果

MSH2 または MLH1 の変異は 184 の家系中 47(26%)に認めた.これらの変異に関連する臨床因子は,結腸直腸癌の診断時年齢が若いこと,子宮内膜癌または小腸の腫瘍の家系での発生,結腸直腸または子宮内膜癌を有する家族が多いこと,家族の 1人に結腸直腸癌が多数存在すること,または結腸直腸癌と子宮内膜癌が同時に存在すること,および遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌の診断に関するアムステルダム基準(2 代以上の連続世代において家族の少なくとも 3 人が結腸直腸癌で,そのうち 1 人は他の 2 人に比べて第一度である;癌は家族の少なくとも 1 人において 50 歳以前に癌と診断されなければならない;および家族性腺腫様ポリポーシスは除外しなければならない)を満たすことであった.多変量解析により,結腸直腸癌の診断時年齢が若いこと,アムステルダム基準を満たすこと,そして家系に子宮内膜癌が存在することは,MSH2 または MLH1 の生殖系列変異の独立予測因子であった.これらの結果を用いて,MSH2 および MLH1 の変異の可能性を推定するロジスティックモデルを考案した.

結 論

臨床所見の評価は,遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌を有することが疑われる家系における DNA ミスマッチ修復遺伝子の変異検出率を改善することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 511 - 8. )