April 20, 2000 Vol. 342 No. 16
食物繊維に富む穀物の添加に大腸腺腫の再発に対する効果はない
Lack of Effect of a High-Fiber Cereal Supplement on the Recurrence of Colorectal Adenomas
D.S. ALBERTS AND OTHERS
大腸癌とその前病変である大腸腺腫のリスクには,食事の影響が大きいと考えられている.しかしながら,穀物繊維が大腸癌への罹患を防ぐという疫学的根拠は確かなものではない.そこで,われわれは,小麦殻の食物繊維を添加した食事療法によって,大腸腺腫の再発率を低下させられるかどうかということを調べるために,無作為試験を実施した.
本試験への組み入れ前 3 ヵ月以内に切除された 1 個以上の腺腫が,組織学的に大腸腺腫と確認された 40~80 歳までの男女 1,429 例を,小麦殻の食物繊維を多量(1 日当り 13.5 g)または少量(1 日当り 2 g)添加した食事療法の指導プログラムに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,追跡調査での結腸内視鏡検査における腺腫の新病変の有無であった.被験者と医師には,結腸内視鏡検査技師も含めて,被験者がどちらの群に割り付けられたかということは知らせていなかった.
1,303 例の被験者が本試験を完了したが,その内訳は,高食物繊維群に無作為に割り付けられた被験者が 719 例,低食物繊維群に割り付けられた被験者が 584 例であった.無作為化から追跡調査の最後の結腸内視鏡検査までの期間の中央値は,高食物繊維群が 34 ヵ月間,低食物繊維群が 36 ヵ月間であった.この追跡調査の最後の結腸内視鏡検査までに少なくとも 1 個の腺腫が発見された被験者は,高食物繊維群が 338 例(47.0%),低食物繊維群が 299 例(51.2%)であった.低食物繊維群に対する高食物繊維群の腺腫が再発する多変量補正オッズ比は,0.88(95%信頼区間,0.70~1.11;p = 0.28)であった.また,低食物繊維群に対する高食物繊維群の腺腫の数に基づく再発の相対リスクは,0.99(95%信頼区間,0.71~1.36;p = 0.93)であった.
本試験で用いたような小麦殻の食物繊維の添加では,大腸腺腫の再発を防げない.