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April 20, 2000 Vol. 342 No. 16

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成長ホルモン受容体拮抗薬ペグビソマントによる先端巨大症の治療
Treatment of Acromegaly with the Growth Hormone–Receptor Antagonist Pegvisomant

P.J. TRAINER AND OTHERS

背景

先端巨大症の患者の治療は,手術,放射線療法,および成長ホルモンの分泌過剰を抑える薬物療法であるが,これらの治療は効果的でないことや,有害作用が発現することがある.今回検討したペグビソマント(pegvisomant)は,成長ホルモンの作用を遮断する遺伝子組換型の成長ホルモン受容体拮抗薬である.

方 法

先端巨大症の患者 112 例を対象として,ペグビソマントの 3 用量(1 日用量として 10 mg,15 mg,および 20 mg)とプラセボを皮下投与する 12 週間の無作為二重盲検試験を実施した.

結 果

インスリン様増殖因子 I(IGF-I)の平均(±SD)血清中濃度のベースライン時からの減少は,プラセボ群では 4.0±16.8%,ペグビソマントを 1 日 10 mg 投与した群では 26.7±27.9%,1 日 15 mg 投与した群では 50.1±26.7%,1 日 20 mg 投与した群では 62.5±21.3%であった(ペグビソマントの各群とプラセボ群との比較で p < 0.001).そして,この濃度が正常値に戻った患者は,それぞれの群の 10%,54%,81%,および 89%であった(各群とプラセボ群との比較で p < 0.001).1 日用量が 15 mg または 20 mg のペグビソマントの治療を受けた患者には,指周径,軟部組織の腫脹,発汗過多の程度,および倦怠感の有意な減少あるいは低下が認められた.先端巨大症の症状および徴候の総スコアは,ペグビソマントを投与したすべての群で有意に低下した(p ≦ 0.05).有害作用の発現率はすべての群で同程度であった.

結 論

今回の予備試験の段階の結果では,先端巨大症の患者に対する成長ホルモン受容体拮抗薬の治療は,血清 IGF-I の濃度を低下させるとともに,臨床的な改善をもたらす.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1171 - 7. )