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June 1, 2000 Vol. 342 No. 22

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クローン病の寛解維持におけるメトトレキサートとプラセボの比較
A Comparison of Methotrexate with Placebo for the Maintenance of Remission in Crohn's Disease

B.G. FEAGAN AND OTHERS

背景

クローン病の患者は再発することが多く,寛解を維持するためのより優れた治療が必要とされている.メトトレキサートは,クローン病の有効な短期治療法ではあるが,寛解維持における役割についてはわかっていない.

方 法

慢性活動型のクローン病の患者で,メトトレキサートの 25 mg を 1 週間に 1 回筋肉内投与する治療を 16~24 週間実施した後に寛解に達した患者を対象として,二重盲検法によるプラセボ対照の多施設共同試験を実施した.これらの患者を,メトトレキサートの 15 mg またはプラセボのどちらかの 1 週間に 1 回,40 週間の筋肉内投与に無作為に割り付けた.試験治療以外のクローン病に対する治療はすべて禁止した.治療の有効性は,試験 40 週目に寛解を維持したままであった患者の割合を解析することによって比較した.なお,寛解の定義は,クローン病活動指数(the Crohn's Disease Activity Index)のスコアが 150 以下とした.

結 果

患者の内訳は,メトトレキサートの投与を受けた患者が 40 例,プラセボの投与を受けた患者が 36 例であった.試験 40 週目に寛解を維持していた患者は,メトトレキサート群が 26 例(65%)であったのに対して,プラセボ群では 14 例(39%)であった(p=0.04;再発のリスクの絶対低下,26.1%;95%信頼区間,4.4~47.8%).再発のためにプレドニゾンの投与が必要となった患者は,メトトレキサート群がプラセボ群よりも少なかった(40 例中の 11 例 [28%] 対 36 例中の 21 例 [58%],p=0.01).メトトレキサートの投与を受けた患者には,高度の有害事象が発現した患者は 1 例もいなかった;しかしながら,メトトレキサート群の患者の 1 例は悪心のために試験が中止された.

結 論

メトトレキサートの治療によって寛解に達したクローン病の患者は,メトトレキサートの低用量投与によって寛解を維持できる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1627 - 32. )