The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 10, 2000 Vol. 342 No. 6

妊娠および産褥期間に血栓症の病歴を有する女性のプロトロンビンおよび第 V 因子の突然変異
Prothrombin and Factor V Mutations in Women with a History of Thrombosis during Pregnancy and the Puerperium

A. GERHARDT AND OTHERS

背景

 静脈血栓塞栓症は,妊娠および産褥期間中の疾病と死亡の主要な原因の一つである.しかしながら,プロトロンビンおよび第 V 因子の遺伝子突然変異や他の血栓性素因の異常が,妊娠および産褥期の女性における血栓塞栓症の危険因子として演じている役割については解明されていない.

方 法

 妊娠および産褥期間に静脈血栓塞栓症の病歴を有する女性 119 例と,年齢をマッチさせた正常女性 233 例を対象とした試験を実施し,抗トロンビン,プロテイン C,プロテイン S,およびループスアンチコアグラントの活性を測定した.また,第 V 因子の G1691A 突然変異(第 V 因子の Leiden 突然変異),プロトロンビン遺伝子のG20210A 突然変異,およびメチレンテトラハイドロ葉酸還元酵素遺伝子の C677T 突然変異を検出するために,遺伝子分析も実施した.血液検体は,分娩後少なくとも 3 ヵ月経過した時点,あるいは授乳を止めてから採取した.

結 果

 第 V 因子の Leiden 突然変異の保因率は,正常女性では 7.7%であったのに対して,静脈血栓塞栓症の病歴のある女性では 43.7%であった(静脈血栓塞栓症の相対危険度,9.3; 95%信頼区間,5.1 ~ 16.9);プロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異の保因率は,1.3%に対して 16.9%であった(相対危険度,15.2; 95%信頼区間,4.2 ~ 52.6); 第 V 因子の Leiden 突然変異とプロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異の両方を併せ持った保因率は,0%に対して 9.3%であった(推定オッズ比,107).血栓症の全体的なリスクを妊娠 1,500 件当り 1 件と仮定して,多変量解析で求めると,第 V 因子の Leiden 突然変異の保因者では 0.2%,プロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異の保因者では 0.5%,両方の突然変異保因者では 4.6%であった.

結 論

 プロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異と第 V 因子の Leiden 突然変異には,妊娠および産褥期間における静脈血栓塞栓症のリスクの上昇とそれぞれ個別に関連しており,この両方の突然変異を保因している女性のリスクは,どちらか片方の突然変異しか保因していない女性よりも非常に高くなっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 374 - 80. )